土地の記憶が<原風景>になる

かねがね「深夜食堂」のような塾をやりたい、ということを私は言っているが、そのドラマの「深夜食堂」はMBSの製作。「情熱大陸」もMBSの製作で、報道・政治方面は分からないが、MBSはカルチャー分野を扱った番組に優れたものが多い。

同じくMBS「ちちんぷいぷい」の中で「とびだせ!えほん」というコーナーがあって、絵本作家の長谷川義史さんが近畿各地を旅しながら、印象に残った場面をスケッチして、最後に一枚の大作にまとめあげている。

先日は八尾と奈良の県境「福貴畑」の幻想的な桃源郷を見せ、先週は和歌山の加太・和歌浦編の再放送で、情緒的な街並みと歴史的な景観を映し出した。

私にとって和歌山といえば、今からちょうど3年前。当塾が大阪に移転するという話が勃発する直前になぜか「和歌山に行こう」と思い立って訪れた場所だ。大阪や熊野ではなく、「和歌山だけ旅行しようとする人は珍しい」と関東では複数の人に言われたが、実に印象深い旅となった。

パッと目に入る景色がどれも絵になるという、世界最古の国といわれる日本の奥深さ、凄みをかつてなく実感したのが私にとっての和歌山県であった。

景色が絵になるという点では、ここ大阪の谷町筋、特に谷町6丁目から9丁目にかけて立ち並ぶ寺院のたたずまいもそれは見事で、通りからちょっと覗ける手入れのされた庭木、石畳を見るだけでも、古都としての大阪の風格に胸がいっぱいになってくる。

私が生まれ育った東京の深川という場所も、東京の中では比較的歴史のある土地だったが、それでもせいぜい江戸時代以降の話だ。この近畿各地の重厚感というのは、長年住んでいる人は気づかないだろうが、私のように異なる土地を経験してきた人間にとっては、計り知れない歴史・文化の豊かさを感じる。

大阪に暮らし、有史以来の土地の記憶が当たり前のように<原風景>として刷り込まれていく塾生たちは幸せである。

この記事を書いた人