東高校・桜和高校・都島工業 合同説明会

大阪府立東高校が幹事となって桜和高校、都島工業高校に呼び掛け、旧市立3校の合同で開かれたこの日の説明会。

2014年には大阪府内にある公立高校の学区制度が廃止され、現在は私立高校の授業料無償化に向けた準備も進む。少子化もあり学校間競争も厳しく、公立高校の先生方にとっても学校存続に対する危機感は大きい。

東高校(都島区)

桜和高校(北区)

▼概要
南高校・西高校・扇町総合高校を統合して2022年に開校した。最寄りはJR東西線の大阪天満宮駅。大阪府初となる「教育文理学科」を設置し、1学年240名のうち約半数が教職希望者。

1年次は共通授業で、2年次から旧3校の強みを生かした3コースに分かれる。学年途中のコース変更も可能。2-3年次は約3分の1が探究科目に充てられ、中学校での部活動補助や図書館・博物館実習などの教育ボランティアでも単位認定される。

▼コース
◎国際文化コース(50名)
旧・南高校(英語系)の特色をのこす。

◎教職教育コース(150名)
旧・扇町総合高校(商業系~総合学科)の特色をのこしながら、大阪教育大学、桃山学院教育大学、大阪成蹊大学など教育学部を有する大学との高大連携を進める。

◎理数情報コース(30名)
旧・西高校(情報系)の特色をのこす。

新しい校舎には全てのトイレにウォシュレットを設置。私は7月末に桜和高校を訪問予定なので、詳細は改めてレポートする。

都島工業高校(都島区)

▼概要
大阪メトロ谷町線の都島駅から徒歩0分、駅の真上にあるのが大阪府で最も歴史の古い工業高校で明治40年(1907)に創立された都島工業高校。昭和4年(1929)には昭和天皇も本校を視察に訪れている。

昭和18年(1943)本校に併設された専門学校は後に大阪市立大学工学部となった。平成25年(2013)には文部科学省のSSH・スーパーサイエンスハイスクールにも指定。現在は在籍876名のうち、女子率が7.1%。女子生徒62名のうち建築科が14名で最も女子率が多い。

▼6学科
◎機械科(生産コース、制御コース)
◎機械電気科
◎建築科(生産コース、計画コース)
◎都市工学科(都市デザインコース、環境システムコース)
◎電気電子工学科(電力システムコース、電子情報コース)
◎理数工学科(※理工系大学への進学を目指す)

「工業高校といえば、油と汗にまみれて汚いイメージがあるかもしれませんが、今の工業高校はプログラミングされたものをロボットが自動で製品化したり、ドローンを飛ばしたり、どんどんスマートになっています」と、校長の大西先生が力説。

カリキュラムでは1年次に数学や英語などの一般科目を中心に学び、2年次以降は専門学科が半分を占める。

▼資格
機械分野であればガス溶接、アーク溶接、化学分野であれば危険物取扱者などの各種国家資格を取得できる。

▼進路
進学では国公立大学9名、関関同立13名、産近甲龍26名。特に大阪工業大学には推薦で66名が進学している。

また、国公立大学では基本的に指定校推薦の制度を設けていないが、大阪公立大は「府内の都市工学科のある高校」からの特殊な推薦枠を設けており、自動的に本校が枠を獲得している。他に、大阪教育大、三重大など「専門高校特別推薦枠」もある。

5年制の高等専門学校(高専)に4年次から編入進学する者も7名おり、高専進学者の多くは理工系大学の3年次への編入を目指すという。

国家公務員の就職はのべ55名。民間就職では関西電力に4名の推薦枠がある。阪急電鉄など鉄道系にも毎年10名以上が就職。

進路面をまとめると
大学等進学50%、一般企業41%、公務員8%となり、多くの工業高校では就職が7割を占めるが、本校は理工系大学への進学者が多いのが大きな特徴。

▼大西校長の魅力
「大阪府内の工業高校は定員割れが続いており、何とか生徒募集を活性化させたい」と大西校長。私が関東にいた頃から、特に私立高校において工業系学科が次々と廃止されるのを目の当たりにしてきたが、ものづくりに適性のある中学生の受け皿となっていた高校に受験生の耳目が集まらないのは残念でならない。

厳しい時代の中、ものづくり人材を生み出す伝統とノウハウを蓄積させてきた本校を後世にバトンタッチすべく奮闘されている大西校長。飾ることなく真っ直ぐなお話とその熱意、にじみ出る人間的魅力に私自身が心を奪われてしまった。

当塾についての詳細な情報はこちらをご覧ください。