阪急京都線で正雀へ。
正雀駅の東出口といえば、階段を下りた真正面に「八剣伝」という焼き鳥屋があった。かつて関係していた高槻の取引先と数回ここで飲んだくれた記憶があるが、今は異業種の店に変わってしまった。
そう、この話題。
その旧・八剣伝のあった正雀駅東出口から通過車両の多い商店街を5分ほど歩くと、目の前に薫英女学院が見えてくる。
■概要
昭和6年に開設された本校は、今年で創立90周年。
本校からJR京都線に向かって北に300mほど歩くと、医療・リハビリテーション・心理・福祉・介護・保育を専門とする本校併設の大阪人間科学大学がある。
■薫英留学
本校の最大の目玉は「薫英留学」といって
高校は国際科が1年生全員必須で1年間の長期留学。普通科英語進学コースは希望制で5週間の短期留学。中学校は国際科が1年間、普通科国際・進学コースが3カ月間の留学を希望制で実施。
通常の留学先はニュージーランドとカナダで、50校の提携校に1校あたり2~3名ずつの生徒を配置。現在は新型コロナウイルス感染症の影響で日本国内の多くの学校が留学を見合わせる中、本校は入国が禁止されているニュージーランドを除いて、カナダへの留学を敢行。カナダにある19の提携校に1校あたり5名(通常2~3名)の薫英生を送り込んでいる。
1校に複数の日本人が入ることで留学の緊迫感が薄れるのではないか、という懸念も持たれやすいが、この提携校はどれも大規模校であり、校内で日本人が混ざらない配慮を心掛けているとのことである。また、現地には本校専属のアドバイザーが7名常駐して薫英生のフォローに当たっている。
尚、世界的な留学の最新状況としては、現在入国禁止でもワクチンパスポートが稼働している国から7月以降に留学解禁となるようで、その意味ではワクチンパスポートについて遅れをとっている日本に対しては、日本人留学生の受け入れも後回しになる模様。
■Kun-ei検
英検・漢検・TOEICなどの各種検定を推奨しているが、特に英検について2020年度の実績は以下の通り。
*高校卒業段階
◎1級 2%
◎準1級 31%
◎2級 43%
◎準2級 17%
→高校卒業時、93%の生徒が英検準2級を取得
*中学卒業段階
◎準1級 6%
◎2級 6%
◎準2級 57%
◎3級 31%
→中学卒業時、100%の生徒が英検3級を取得
■大学進学
2021年度入試では、卒業生232名に対して延べ合格数が国公立6、関東難関私大(上智・明治・ICU・立教)7、関関同立80、産近甲龍111となっており、ボリュームゾーンは産近甲龍になるが、本校の中でも国際科と普通科の英語系コースが大学進学面ではリードしている。
指定校推薦枠で関大12、関学4、同志社3、立命館8、近大12、京都外語大13と魅力的な枠が充実しているのは注目だろう。本校は派手な学校ではないし、生徒募集の宣伝も控えめであるが、堅実にじわりじわりと各大学との信頼関係を築き上げてきた結果がこういった指定校推薦枠に表れる。
■まとめ
ディベート、グループワークを通常授業に取り入れ、「英語の薫英」を軸に女子生徒のアクティブさ、活発なコミュニケーション力を引き出す薫英教育。
現在、塾対象説明会はオンライン開催の学校が大半で、私も事務所でZoomだのYouTubeに向かう機会が多い。そんな中、本校での対面式説明会を果敢に開催した薫英女学院の勇気は称賛されるべきである。オンラインが悪い訳ではないが、オンライン説明会は正直言って印象に残らない。記憶に刻まれないから「あれ、今日のあの話は桃山学院だったっけ?大阪女学院だったっけ?」とZoomの退出ボタンを押した数時間後には分からなくなっているのである。
やはり、先生方の雰囲気、学校の雰囲気は現地の学校に行かなければ把握出来ない。私が思う「良い学校」の条件は、先生方がみな同じ方向(目標)を向いていることだが、薫英の先生方はまさしくそれに相応しい統一感を感じられた。
(2021年6月16日訪問)