金蘭会高校・中学校(大阪市北区)

JR大阪環状線の福島駅から500m。なにわ筋を北上して将棋会館の前を通り、西のあみだ池筋に向かって左折すると半円形の金属フレームに覆われた本校が見えてくる。この金属フレームは特徴的で、阪神高速の池田線に乗っていると豊中方面に向かう途中、ホテル阪神を超えたあたりで銀色に光る金属フレームが右手に見えてくるのだ。

■歴史
吹田市に難関校の金蘭千里中学校・高校があって、もともとは学校法人金蘭会学園に属していたが、2005年に学校法人金蘭千里学園として別法人になった。

現在、学校法人金蘭会学園に属するのは本校と千里金蘭大学(食物栄養学科・児童教育学科・看護学科)、金蘭会保育園。尚、千里金蘭大学が吹田市で金蘭千里中学・高校と同じキャンパスにあるというのが、名称もそうだが何ともややこしい。

さて、「金蘭会」とは府立大手前高校の前身であった府立堂島高等女学校の同窓会のことで、その同窓会「金蘭会」が大阪に女子教育の機会を広げるべく明治38年(1905)に曾根崎新地に金蘭会女学校を創設したのが本校の始まりである。

大正14年(1925)に同窓会「金蘭会」より学校の経営権を本校が受け継いだが、府立大手前高校の同窓会は今でも名称「金蘭会」である。

■校舎
平成19年(2007)に現在の校舎に改築されたが、築14年とは思えないほど新しく感じる。正門から校舎下のピロティを抜けると正面にコンパクトなグラウンド。校内に足を踏み入れると木目調の床に白い壁が続き、清潔感あふれる校舎である。

■奨励金の見直し
新型コロナウイルス感染症の影響で経済的に厳しい家庭が増えており、学業の継続と生徒自身の資格の取得に際して、不自由な思いを生徒・保護者にさせないよう本校として出来る限りの助成制度(特待生・奨励金ほか)を強化している。

■岡田正次校長
東淀川、桃谷といった府立高校の校長を歴任された岡田校長が本校に着任されて3年。名刺交換をさせて頂いたが、物腰が穏やかで慈愛に満ちた印象の先生。

岡田校長の登壇では「オープンキャンパスや体験など、選ぶ材料を提供するのは本校の役割だが、それを踏まえて最終的に受験を決めるのは生徒。12歳、15歳にそれなりの覚悟が必要で、その覚悟を受け止めるのが本校である」というお話に感銘を受ける。

コロナ禍でますます「たくましい女性」の育成が求められる、中学入学から大学卒業まで10年のスパンで生徒を展望する、リメディカル(学び直し)もきっちり本校では行っていく、と。

■「やればできる」を見える化する中学校
 ◎自学自習ノート
 ◎学習時間の記録
 ◎計算カップ(競技)
 ◎英語スキットコンテスト
 ◎読書の樹(自分が読んだ本をカードに記して他の人に紹介する。壁に貼ったカードが一本の樹木の形に成長していく)
 ◎器楽発表会
 ◎服のチカラ(ユニクロと提携して古い服を回収)
 ◎KINRANファーム(なにわ伝統野菜の栽培と収穫)
 ◎赤ちゃん先生(幼児とその母親を招いて子育て体験)
 ◎老人福祉施設の訪問

■高校は5コース
 ◎GS(グローバルスタンダード):社会との関わり+英語
 ◎文理進学:1年次で基礎固め、2年次に文系・理系へ分かれる
 ◎看護医療:理学療法士など幅広い医療体験プログラムを用意
 ◎こども教育:幼児教育・初等教育系の大学を目指す
 ◎アスリート:バレーボール・新体操・剣道の3部が強化指定

■進路
2021年度最新で下記の通り。
 ◎4年制大学:67%
 ◎短大:7%(看護・医療、こども教育、国際教育)
 ◎専門学校:17%(看護・医療、理美容、動物ほか)
 ◎就職3%

4年制大学を詳しく見ると
 ◎千里金蘭大学(内部進学):16%
 ◎早稲田+関関同立:5%
 ◎産近甲龍:5%
 ◎摂神追桃:3%
 ◎女子大(内部進学を除く):16%
とのことである。看護・医療系はジャンルが明確な分、看護・医療系への進学者が比較的多い印象。

■まとめ
進学校には特定の上位クラスに注力して、その他のクラスはお客様扱いになる印象の学校も少なくないが、本校はそういった切り捨て型とは無縁の、リメディカル学習(学び直し)を踏まえて全体への底上げをしっかりさせていく学校。

中学生は先に記した通り「やればできる」の見える化でさまざまなイベントを体験し、高校1年で改めてリメディカル、高2・高3で茶道(裏千家)・華道(池坊)・礼法(小笠原流)を学び、探究授業によって「KINRAN PRIDE」を確立する流れ。

女子校らしい取り組みは、現代の生徒・保護者から評価を得にくく、都市部は特に女子校そのものの存続が危ぶまれる時代状況ではあるが、本校には是非ともその取り組みを際立たせていただき、後世に続く学園であってほしい。

追記
どうでもいいことだが、教室は前面に電子黒板兼用の大型ホワイトボード。字消しは黒板消しのような専用イレーサーではなく、先生の右手に雑巾、左手に霧吹きのスプレー。消す時はボードにスプレーを吹きかけてから雑巾で消す。ホワイトボードの盤面は大まかに「ホーロー」と「スチール」に分けられるが、「ホーロー」は書いた文字がよく消えるが高価。「スチール」は安価だが字が消えにくい。それこそ定期的にアルコールを付けてやっと消える感じ。当塾の移転前、1階の路面店だった時にサブ用で大型のホワイトボードを購入したが「ホーロー」との違いを知らずに「スチール」を買ってしまい、字が消えず難儀したのを思い出した。もしや!?

(2021年6月24日訪問)

この記事を書いた人