神尾塾文庫~その2

先週のデザイン系に続き、今週は文科系の書籍を紹介。

▼『修身教授録~現代に甦る人間学の要諦』(森信三・講録、致知出版社 1989年)
昭和12年から14年にかけて、大阪天王寺師範学校(現・大阪教育大学)における森信三先生の講義記録。教育に携わる者にとって必読であることは言うまでもないが、部下を持つビジネスマン、経営者にとっても金言の書。

▼『西郷南州の遺訓に学ぶ』(森信三・講録、致知出版社 2014年)
森信三先生が昭和14年、御年45歳で「西郷南州遺訓」について講義された記録。

▼『西郷南州遺訓』(山田済斎・編、岩波文庫 1939年)
遺訓第25番、「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己れを尽くして人を咎(とが)めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」は、いつ読み返しても胸が震える。

▼『言志四録(全4巻)』(佐藤一斎・著、川上正光・全訳注 1978年)
先ほどの「西郷南州遺訓」に同時収録されているのが「手抄言志録」で、西郷隆盛が「言志四録」の中から座右の銘たる章を抜き出して書き留めていたものである。その元となった「言志四録」は江戸後期の儒学者である佐藤一斎が生涯をかけて記した随想。佐藤一斎は門下生として佐久間象山、渡辺崋山、横井小楠ほか幕末に活躍した英才を輩出している。

勝海舟、坂本竜馬、吉田松陰は佐久間象山の門下生であるので、彼らは佐藤一斎の孫弟子にあたる。尚、訳注を書かれた川上正光先生は東京工業大学の学長を歴任された、なんと電気工学者。

▼『啓発録』(橋本左内・著、講談社学術文庫 1982年)
西郷隆盛が西南戦争で自害した際、傍らに置いてあったカバンの中には友人であり同志であった橋本左内からの書簡が入っていた。橋本左内は安政の大獄により26歳の若さで生涯を終えている。以下は橋本左内が満14歳の時に書いた、「志を立つ」。

▼『代表的日本人』(内村鑑三・著、岩波文庫 1995年)
西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人について、人となりと足跡をキリスト教指導者の内村鑑三がまとめた。

▼『愛は命の原動力』(中原儀子・著、KKロングセラーズ 2006年)
▼『愛、生きるいのち』(中原儀子・著、廣済堂出版 2003年)
私の尊敬するキリスト者、中原儀子先生のご著書。

▼『黎明(上・下巻)』(葦原瑞穂・著、太陽出版 2001年)
「学習の価値はあくまでも、それぞれの生徒が現在の到達点からどれだけ進歩したかに置くべきで、他人との比較は何の意味もないことを、生徒は勿論、親や教師のひとりひとりが徹底して理解していなければなりません」教育に携わる者としての複眼思考を養う意味でも、至高の名著。

▼『論語の言葉』(KKベストセラーズ 2011年)
論語の入門書。写真入りで大変読みやすい。

▼『老子・列子~中国の思想』(徳間書店 1996年)
「主体的な生きかたの原理」と帯に書いてある。儒教、つまり人間学の要諦。

▼『孟子~中国の思想』(徳間書店 1996年)
「孟子」を含めて、「論語」「大学」「中庸」は儒教の「四書五経」のうちの「四書」に位置づけられる。

▼『大学・中庸』(金谷治・訳注、岩波文庫 1998年)
何のために勉強をするのか、何のために教育が存在するのか。その意義が見えてくる。

▼『廣池千九郎語録』(モラロジー研究所・編 1977年)
麗澤中学・高校を擁する廣池学園の創立者が廣池千九郎(ちくろう)先生。モラロジーとは道徳科学という意味で、そのエッセンスが本書に凝縮。「日常生活の道徳」「社会生活の道徳」「道徳と経済」「心づかいの標準」「道徳実行の方法」など、口先だけの道徳ではなく、実践としての道徳。

▼『国民の修身』(渡部昇一・監修、産経新聞出版 2012年)
人間としての基礎を教える、戦前の「修身」の教科書の復刻版。

▼『子どもに伝えたい日本人のしきたり』(三橋健・著、家の光協会 2007年)
元國學院大學教授・三橋健先生が、日本人の風習を図解入りでガイド。個人的な話をすると、三橋先生は20年近く前に私が渋谷の国大で神職研修を受けた際の教官であった。

▼『アメリカのスーパーエリート教育』(石角完爾・著、The Japan Times 2000年)
天才児は、日本では時に「発達障害」として扱われることがある。彼らは、全体を平均的にこなすことが苦手なだけで、特定の分野に猛烈な集中力と能力を発揮する天才性を有しているのだ。そんな天才児が画一的な日本国内で生活するのは息苦しい。ならばアメリカのボーディングスクール(全寮制)に留学してしまおうということで、その橋渡しをする国際弁護士であり教育コンサルタントである石角氏がボーディングスクールの実情を紹介している。

▼『山の学校からのメッセージ~白根開善学校物語』(窪井新次郎・著、東洋館出版社 1998年)
ある意味日本版のボーディングスクール。「どんな子も善くなる可能性を持っている」・・・大人が教え込む、大人が引っ張っていく、そういう従来型の学校ではなく、子ども達が自立と連帯を自ら学び、人生を生き抜く力を学んでいく。創立者である本吉修二先生の開校までの格闘記でもある。