途中式に関するデリカシー

算数・数学の学力がこれから伸びるかどうかを占う視点として、途中式に注目する。

【1】式を少しずつ変形しているか?

例えば、この式は正しい。

1+2×3−4
=1+6−4
=7−4
=3

正しいというのは、筋道が通っているという意味である。ところが

1+2×3−4
=1+6
=7−4
=3

のように、突然「4」が消えて、再び「4」が現れる式を書く場合がある。

これは筋道が立たないので不正解とする。算数・数学が苦手な生徒に見られるパターンである。

「答えが合っているから別にいいじゃない」と本人は思っているが、視野の狭さと注意力散漫に原因があり、学力も伸びにくい。

【2】式の順序を守っているか?

1+2×3−4
=6−4+1
=2+1
=3

このように式の順序を入れ替えてしまう場合、センスの問題で算数・数学に向いていない可能性が高い。

これも本人は「答えが合っているからいいじゃない」と思っているが、このタイプは中1段階で「2-10」と「10-2」の区別に時間が掛かる。

【3】式を省略していないか?

1+2×3−4
=7−4
=3

生徒の学力にもよるが、習熟している生徒が式を省略するのは全く問題ない。むしろ、習熟している生徒に対して細かな途中式を強要するのは時間の無駄遣いになるため、ここは個々の生徒により対応を変えなければならない。

そうではなく、習熟していない生徒が暗算に依存して、途中過程をすっ飛ばす場合がある。この場合、暗算も精度が低いためにますます正答から遠ざかってしまう。

この現象は頭の中で考えたい文系タイプに多い気がする。頭の中でグチャグチャと考えたいのだが、糸くずが絡まるように思考が混乱するので、紙面での過程の検証が出来ずに、余計に時間がかかってしまう。

【4】型を軽視していないか?

分数式と単項式の処理については過去記事で述べた。

計算には確実に解くための洗練された「型」(定石)があって、型通りに解けば正解する確率も高まり、正解数が増えるから算数・数学自体も嫌いでなくなる。

ところが「我が強い」タイプの生徒は何回と型を練習しても、その後我流で途中式を崩すようになり、結果として解けなくなる。

パナソニックの創業者、松下幸之助が「一番大切なことは素直な心」だと言っているが、素直になった方がよい場面で素直になれるかどうかは、人生の分岐点だと思う。

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