中2計算の鬼門~分数式・単項式・連立方程式

中学数学において、中1よりも、中3よりも、最も鬼門となるのは中2であるように思う。
というのは、中2計算は特に<型>の習得が重要で、その<型>に対する意識が薄いほど計算ミスを誘発し、数学そのものが苦手・嫌いになってしまう、つまり生徒自身で墓穴を掘りやすい単元が続くからだ。

<分数式は分母をつなげて通分せよ>

→分数式は分母をひとつにまとめて通分する。ひとつにまとめた分子は括弧を使って分配前の状態を書いておく。それをしないと、マイナスの分配を忘れて間違える者が大変多い。「マイナスの分配忘れ」、これが分数式のポイント。

<単項式は分母(下)・分子(上)をはっきり区別せよ>

→整数と分数が混ざって、しかも掛け算と割り算も混ざっている。数学の苦手な生徒は、数学が「書きながら情報を一つずつ整理する」情報処理の教科だという認識(これを論理性という)がないため、書かずに頭の中だけでどうにか出来ると思っている。この根っからの認識の甘さが、その生徒自身を数学苦手に至らしめている。

単項式の乗除は、分母と分子をはっきり区別した上で約分する。これがポイント。それだけで正確さが一気に高まる。

<連立方程式はマイナス倍せよ>

→数学は問題集や先生によって解き方が異なるから、数学の苦手な生徒が混乱しやすいのはそういう理由もある。特に連立方程式の処理は意見が分かれるところだろう。教科書の正統な解き方では、右側の「×」例で示したように、最後に上の式から下の式を引く。しかし私は、数学の苦手な子はここで落とし穴を誘発してしまうと見ている。つまり、分数式と同じように、マイナスの分配を忘れてしまうということだ。これが一つ目のポイント。

数学の苦手な生徒ほど書かないので、頭の中で空想するだけでマイナスの分配漏れが多々出てくる。それで正しい計算結果が出ない。だから、私は左の「〇」例で書いたように、<はじめから(上または下の式を)マイナス倍しなさい>と指導する。はじめからマイナス倍してしまって、あとは上の式と下の式を足すだけで、xまたはyが消せる。この「マイナス倍」が二つ目のポイント。

この方法は学校と同時並行で習得させると生徒が混乱するので、<学校よりも遥かに先取り>または<学校よりも遥かに遅れて>、「ほら、この方法だとミスが減るでしょ」と認識させ、繰り返し練習させる。