開明中学校・高校(城東区)

京橋駅を下車して開明中学校・高校へ。前回の訪問記録はこちら。

いくつか新しい項目を付け加えておく。

【骨太の学力を育てる】
今回、林校長が強調されていたのは「肝心の知識と技能の習得をこれまで通りに注力する」という点。ディスカッションなど他校で近年流行している授業形式にとらわれることなく、本校は王道の勉強法で骨太の学力を育てる方針。

【先生方の熱量】
来客に愛想を振りまくような先生方ではないが、一人ひとりの先生が登壇された時の喋りの熱量がとにかく高い。語る内容も簡潔かつ明瞭で、さすが進学校と唸らされる。(”自称”進学校を含めて、その他の学校でダラダラと長い時間を使って話すような説明会と正反対である)

【五ツ木模試と大学進学の相関】
高校入試の段階での五ツ木偏差値(SS)と合格大学の相関について。
全部掲載するのは不適切なので、目安として一部だけ。

◎SS71.8=京都大
◎SS69.5=大阪府大
◎SS57.7=関西大

【文理学科よりも引き上げる】
府立の文理学科に不合格となり、併願合格で開明高校に入学してくる生徒に希望を持たせたい。
国公立大学の合格率(合格者数/卒業生数)を比較。

↑北野 95.2%
↑三国丘 92.7%
↑天王寺 88.7%

↑開明(高入生のみ)69.2%
↑開明(全体)65.6%


↑四條畷 63.8%
↑大手前 62.7%
↑茨木 62.3%
↑高津 60.4%
↑生野 60.3%
↑豊中 57.5%
↑岸和田 49.2%

【難関国公立大学の合格率ランキング】
サンデー毎日「大学入試全記録」が出典となっているので載せても大丈夫だろう。(国公立医学科+東大+京大合格者数/卒業生数)

(1)大阪星光 43.2%
(2)北野 41.7%
(3)清風南海 28.5%
(4)天王寺 22.0%
(5)附属天王寺 16.8%
(6)高槻 15.4%
(7)四天王寺 14.4%
(8)附属池田 11.9%
(9)開明 9.7%
(10)茨木 8.7%

【募集人数のバランス】
◎中学入試(計240名)
 スーパー理数コース120名
 理数コース120名
◎高校入試(計80名)
 6年文理編入コース 80名

2021年度の高校1年生を見ると
 *S理数(一貫生)3クラス118名
 *理数(一貫生)3クラス112名
 *編入(高入生)1クラス17名
となっており、高入生が80名の募集人数に対して圧倒的に少ない。これは併願合格者の入学率が25%で残り75%が府立文理学科など他校に流出していることと、本校が高校入試の基準点を高く設定しているため、中学校の先生が本校の受験を推奨したがらない傾向にあるようだ。例年の1.5次入試の実施も、そこに理由がありそうだ。

ちなみに、先ほどの国公立大学合格率で
 開明(高入生のみ)69.2%
 開明(全体)65.6%
とあった。高入生の方が一貫生よりも高学力傾向。無理に中学受験をせず、公立中学で実力をつけてから高校受験した方が成果を得やすい場合もあるということか。

【中学入試の加点】
1次入試(計3回)を複数回受験した生徒は2次試験における加点がある。(何が何でも第一志望で開明に入学したい、という生徒を優遇するという意味)

【開明の教育スタンス】
◎「中学・高校の6年間は大いに学ぶべし」
→中2までに中学課程を修了、高2までに高校課程を修了。しかし授業を速く進めるのではなく、豊富な授業時間を確保することでじっくり学ばせる。
→公立中の標準週28単位に対して、開明中は週37単位(週3回は7時間授業)
→高1からの編入生は週3回を8時間授業(週42単位)で中高一貫生に追いつかせる。
→中入生のうち希望者は全員高校に内部進学できる(足切りしない)

◎学びの基本は体験学習
→学問のロマンに触れる進路講演会
→多彩な行事、教科との融合(全員参加の夜間歩行、理科実習、農場体験など3年間で6回の宿泊行事)

【タブレット(iPad)は貸し出し】
生徒に購入させると、使用することが目的となってしまい、使わない場合保護者から「何で使わないのか」とクレームになる場合もある。したがって本校ではタブレットは生徒に購入させず、学校で購入したものを生徒に貸与させる形をとる。その方が無理がない。

「ICTの導入が生徒の学力伸長につながるのかどうか、本校では疑問を持っている」と中学教頭の竹森先生。

このように、本校は世間の流行に安易に乗らず、その是非を一つひとつ考えながら教務にあたっている。

(2022年6月21日訪問)

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