開明中学校・高等学校(大阪市城東区)

【アクセス】
京阪電車との乗り換え口である京橋駅のJR北口。ここからグランシャトービル、猥雑な雰囲気の漂う京橋東商店街を抜けて、計600m。約8分で開明中学校・高校の正門に到着する。

【歴史】
本校は大正3年(1914)に大阪商業会議所(現在の大阪商工会議所)が貿易向けの語学力養成のために創設した「大阪貿易語学校」が前身。平成4年(1992)まで大阪商工会議所が主管であったが、平成7年(1995)に「大阪貿易学院」から「開明」に改称。長らく男子校であったが、平成18年(2006)に中高完全共学化。平成26年(2014)には新校舎が完成した。

【校舎】
校舎は大阪私学の中で唯一といってよい規模の本格的な免震装置を持ち、地下1階の温水プールに入ると基礎(下部)と建物(上部)が分断されている(基礎が揺れても建物が揺れない)仕組みが目で確認できる。実際、過去に大きな地震が発生しても本校のエレベーターは停止しなかったようだ。

その他、太陽光パネルでの発電、屋上庭園、食堂、人工芝のグラウンド、高校生が19時まで利用できる計122席の自習室と、設備が充実している。古風な女子の制服は桂由美によるデザイン。

【人間性を育てる行事】
「学びの基本は体験学習」ということで、弁論大会、古典芸能鑑賞会、など毎月多彩な行事を実施している。研究発表を中心とした文化祭(9月)・音楽発表会(12月)・弁論大会(3月~5月)は時間をかけて入念に準備。中2の理科実習(6月)では和歌山の海岸で自ら採集したウニ・ナマコ・ヒトデを用いて2日間生物の解剖実習を行う。1月には冬登山による耐寒訓練もある。体育大会(10月)は長居のヤンマースタジアムで開催。

3月の「夜間歩行」は本校の目玉行事であり、中3全員が「しまなみ海道」43kmを雨天決行で14時間半かけて踏破することで「やり抜く力」を身につける。PTAの保護者80名は途中地点で豚汁の炊き出しを行ったり、サポート役で参加。

【豊富な授業時間】
中学では50分授業を最大7限、高校では50分授業を最大8限まで行い、高2までに高3のカリキュラムを終える。教員の教材研究に力を入れ、生徒には授業中心に力をつけさせる。中学では週4日の給食がある。

【クラブ活動は週3日まで】
加入率7割となる部活動は週3回までに制限されており、休日も部活動は実施せず、高2夏の公式戦で引退する。高3は部活動がなく、勉学との両立を最優先にしている。運動部は12、文化部は20あり、活動日数が少ないことから運動部は活発な戦績を残すイメージではないが、文化部は囲碁・かるた部において全国大会レベルを有している。

【コース】
中1から高1まで「スーパー理数」「理数」の2コースとなるが、理系のための「理数」という意味ではなく、これからの情報化時代に対応できる、理数の素養を兼ね揃えた理系・文系の生徒であってほしい、という願いが込められている。5教科や実技教科もしっかりと幅広く学ぶことで国公立大学への進学を目指す。

【国際交流】
高1の8月には希望者を対象にオーストラリアでの海外研修が行われ、ホームステイ先は生徒1人につき1家庭が割り当てられる。自力でコミュニケーションを取らなければ生活できない状況に追い込まれる。

【オンライン英会話】
Skypeを用いた1対1のオンライン英会話を実施。

【英検合格者数・日本一】
令和元年度、中学校卒業生270名のうち、英検準2級取得187名、2級以上取得59名。中学校では3年間のうちに約7割の生徒が英検準2級以上を取得している。

【講演会】
ノーベル物理学賞の益川敏英氏、宇宙飛行士の山崎直子氏、昨年アフガニスタンで亡くなられた医師の中村哲氏といった著名な先生方を招いて、学問のロマンに触れる講演会を毎年開催し、生徒の知的好奇心を刺激する。

【2020年度入試結果】
中学の1次前期入試(1/18)は1.63倍、1次後期入試(1/19)は1.61倍、2次入試(1/21)は1.92倍で、合計すると受験者数1027名、合格者数614名となる。定員240名の6クラスを維持するため、入学者数を増やさないよう2次入試の難度を高くして合格者数を調整している。今春の中1は男子131名、女子94名で男子がやや多い。

高校入試の特徴としては、高入は1コースのため「回し合格」が存在しないこと。事前相談をきちんと行うことで、相談時に学力の確認が出来た生徒のみ受験できることになる。今春の1次入試は受験者数52、合格者数52で入学者数17名。1.5次入試で受験者数6、合格者数6で入学者数3。合格者数から入学者数の差分を見ると、併願受験生の96%が大阪府立の文理学科を受験している。

【まとめ】
カリキュラムから行事、設備に至るまで「パーフェクト」という表現が相応しい学校。最上階の8階から各階の教室フロア、地下の温水プールまで全館くまなく見学させていただいたが、生徒の雰囲気も含めて、何というか健康的で実直な<大阪のいちばんよい所だけを集めて凝縮した>ような学校だと感じた。

キリスト教などの宗教を母体にした私学が大阪には多いが、本校は30年前まで大阪商工会議所の直営であったように一切宗教色もなく、実業家たちが大阪の将来を支える人材を輩出しようとこの学校を作り上げてきた意気込みが今でもまざまざと感じられる。私学特有の「私的さ」ではなく、なんとなく「公的な」雰囲気を残す、民主的な学校である。

(7月21日訪問)

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