関西大学中等部・高等部(高槻市)

【アクセス】
JR京都線に乗ると、高槻駅を過ぎたら京都方面に向かって左手に「KANSAI UNIVERSITY」と書かれたベージュ色の巨大な建物が見えてくる。関西大学高槻ミューズキャンパスである。

ここはJR高槻駅から徒歩7分で、阪急高槻市駅から歩いても10分。平成22年(2010)に開設された都市型キャンパスで、JRから見える東西にのびる建物は外観が一体となった西館と東館、そして別棟で低層の北館という構成。

初等部・中等部・高等部は東館、大学は西館、レストラン・売店・アリーナは北館と、それぞれ機能ごとに棲み分けされている。

【施設】
正門(北門)と西門から出入りするが、セキュリティが厳しくICカードで管理されており、東館・西館では自身の所属するフロアにしか入室できない。

東館は1階から5階が初等部、6階から13階を中等部・高等部が使用する。周囲に高層ビルが少ないため、化学実験室などが入居する13階からの眺望は素晴らしく、床がカーペットなこともあって、ホテルのような高級感。

生徒は6基のエレベーターでフロアを移動する。校内見学の際に、私たちが乗るエレベーターに在校生が途中階で乗ろうとして「あ、お先にどうぞどうぞ」とか「きゃ、どうしよう・・すみません」とか、出くわす生徒が可愛らしさと上品さを兼ね揃えた反応をしていたことに好感をもった。

北館は1階がレストラン・購買で大学生と兼用。中等部は給食だが、高等部はレストランの利用が可能。つまり、セキュリティで生徒の構内移動はある程度制限されているが、高等部の生徒はところどころで大学生と接する仕掛けになっている。当然、大学生向けのレストランだからメニューも豊富。

中等部は中等部で完結するが、高等部になると半分大学生のような気分を味わえる。これは同じ併設校でも関大第一・関大北陽では体験できない大学生活に向けての高揚感に繋がる。

【中大連携・高大連携】
キャンパス内には初等部、中等部・高等部、大学、そして高槻市立の計4つのライブラリーがあり、高校生は申請すれば大学のライブラリーも利用できる。

【高等部の個人論文10000字】
高等部では卒業研究として個人論文を執筆し、発表会とポスター展示が行われる。キャンパス内のライブラリー環境をフル活用し、また関西大学の研究室とも連携して論文を仕上げていく。

【関大推薦を確保した上での国公立大受験】
2021年度の卒業生137名のうち、大学合格者数は
◎国公立大23名
◎関西大学106名
となっており、国公立大は関西大学の推薦を確保した上で受験できる。

私大については、関西大学にない学部(医歯薬系)であれば他大受験が可能だが、それ以外は関大進学が条件。したがって「国公立大を受験しない生徒=ほぼ関大に進学する生徒」となる。

関西大学への内部推薦106名のうち、理系の学部に進学する割合はざっと25%。多くが文系に進んでいる。だからといって本校が文系に比重を寄せた授業をしている訳ではなく、理系進学者を増やすことが今後の課題である。

【大学受験であくせくしない学校生活】
このように、本校は関西大学に直結しているので、大学受験のための勉強よりも、日常の学習をいかに充実させるかに重きを置かれている。

中高6年間の探究学習はそのひとつで、中等部では高槻や奈良、京都など各学年ごとのフィールドワーク、高等部で地域創生や国際協力など10のテーマから選択したゼミに所属して、高3で卒業論文に繋げる。

国際理解教育(カナダ・台湾など)も活発で、コロナ前は高等部150名のうち40~50名の生徒が海外の短期留学を利用した年もあった。尚、本校では2024年から本格的に長期・短期の留学制度を再開させる予定。

【小規模校のアットホームさ】
本校は1学年130~150名程度という小規模校で、先ほど校内見学の際のエレベーターで出会った在校生について触れたが、どの先生もそれぞれの生徒を認知している(生徒に目が届きやすい)という、アットホームさが最大の魅力である。「他人」感がないから、どのような場面でも生徒は自然に愛嬌を出せるのだろう。

【2010年開校で13年目】
2022年は関西大学が創立100年、中等部・高等部は創設から13年を迎えた。本校は創設の時に最も若手だった先生方が現在、恐らく30歳代後半から40歳代前半を迎え、これから気力・体力ともにますます脂が乗る世代に入っていく。

そういう先生方が主力となる学校自体、これから脂が乗ってこない訳がないだろう、というのが私の率直な感想である。校内を案内して下さった先生もそうだったが、(大学付属だからなのかもしれない)ガツガツしていない感、先生方の立ち居振る舞いの上品さも印象深かった。

【定員の配分】
中1では「初等部からの50名+中入生70名(計120名)」で混合クラスが3クラス。
高1では「中等部からの120名+高入生50名(計170名)」で混合クラスが4クラス。

【中学入試】
前期の得点率は60%、後期の得点率は70%。これが合否のボーダーの目安。後期は同志社、立命館との併願者が受験、または「1日目関一、2日目北陽、3日目関大中等部」のように関大併設校をすべて併願してくる受験生もいるという。倍率は2018・2020・2022が高倍率となる隔年現象で、2019・2021年が低倍率となれば、2023年も比較的低い倍率が予想される。

いずれにしても第一志望で入学した生徒の方が、入学後の任意の学校行事への参加率も高く、学校としても第一志望の生徒を増やしたい意向。したがって前期募集70名程度に対して、併願者の多い後期は10名程度にしぼっている。

(2022年6月16日訪問)

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