大阪市立ビジネスフロンティア高校(大阪市天王寺区・共学)

【概要】
JR大阪環状線の桃谷駅南口改札を出て南西方向に600m(徒歩8分)、大阪メトロ谷町線の四天王寺前夕陽ケ丘駅からは坂を下って10分。勝山通と玉造筋の交差する勝山4丁目の交差点そばに正門がある。本校は旧天王寺商業・市岡商業・東商業を統合して2012年に設立された。英語科でも商業科でもないグローバルビジネス科のみ、単一のグローバルビジネス学科としての学校は本校が全国唯一である。

【OBFの三本柱】
英語とビジネスが教科学習の中心となる。本校の3本柱は「英語力」「会計力」「ICT力」。
「英語力」:今後国内需要が減り、海外に日本人が進出し生き残っていくための世界共通言語を身につけること。
「会計力」:良い会社・悪い会社を見抜く判断は『会計』が基準になること。
「ICT力」:超スマート社会となるソサエティ5.0(日本が提唱する未来社会のコンセプト)を生き抜くためのICT力。説得力をもって相手に伝えるプレゼンテーション能力もここに含まれる。

【OBFひろめ隊】
最新の学校パンフレットの表紙に女子生徒が大多数の写真が載っているが、これは部活動の「OBFひろめ隊」で、所属する生徒たちはボランティアで本校の広報活動に勤しんでいる。本校全832名のうち、部員が210名で、彼らにとってさまざまな機会に学校のPRをすることが高校生活の一部になっている。

【卒業生】
1学年40名×7クラス。現1年生が8期生で、過去7年間で1503名が卒業した。1期生が2019年春に大学4年を卒業したことになるが、本校の卒業生で既に公認会計士に6名合格している。また、関西大学に進んだ卒業生で1学年800名の中の首席で関大を卒業した者もいる。

【全国からの見学者が絶えない学校】
商業科の割合は全国の高等学校の中で6%を現在割っているが、本校には全国からの視察が絶えず、東京都で実施された商業高校の再編にあたっても本校の取り組みが大きく参考にされた。

【卒業後の進路】
1学年280名で70%が進学、30%が就職。進学者のうち半数が四年制大学(指定校推薦)へ、半数が連携大学(特別入学制度)へ進学している。本校では高校と大学の一貫した連携教育を基本に位置付けており、高校では「英語・会計・情報の高次資格取得」、大学では「会計情報の分析によるマネジメント力の習得」と、高大7年間でビジネススペシャリストを目指す。

◎5つの連携大学
大阪市立大学・商学部=推薦入試6名枠(センター試験必須)
関西大学・商学部=特別入学制度20名枠(関大の付属校を除いて20名枠は最大規模)
関西外国語大学・英語国際学部=特別入学制度20名枠
京都産業大学・経営学部=特別入学制度5名枠
桃山学院大学・経営学部=特別入学制度20名枠

将来を見据えて7年間のスパンで教育を受けることを考えたら、本校に入学して連携大学への進学を目指すことは大変お得で、実学教育を受け続ける最短距離にもなるため是非参考にしたい。連携進学を除く合格者数は、国公立3名、関関同立3名、産近甲龍15名。就職では大日本印刷、JR西日本、凸版印刷、YKK AP、サクラクレパスなど有名企業多数。

【英語の授業】
国際系学科と同等の学びが本校でできる。ネイティブの常勤講師4名と、ESSの部活動をはじめ昼休みなど生徒たちが英会話でコミュニケーションを取っている。海外に2校の姉妹校を設けており、ホームステイ・訪問・受け入れなど交流を活発化させている。日本語禁止で英語しか使えないEnglish Campも実施。

【ICTの授業】
校内7教室で500台のPCを用意。全館Wi-Fiが完備され、ベネッセのClassiは朝学習・校内掲示板として利用されている(朝学習には紙のプリントではなく、Classiで教材を配信している)。情報処理競技大会は全国大会レベル。

【ビジネスマネジメントの授業】
校内で実際に生徒が会社を立ち上げて(登記して)、あずさ監査法人の公認会計士の監修のもとで「究極のお弁当づくり」に取り組んでいる。顧客のターゲット設定、コスト計算を生徒グループがプレゼンして実際の商品開発につなげる。実習室でディスカッションを重ねる生徒たちのイキイキとした目の輝きが印象的。

在学時に日商簿記2級を目指す(1年生で3級、2年生で2級)。ビジネスマネジメントの授業は高大接続科目であり、また探求型学習として、企業・公認会計士・実務家と連携した講座を在学中の3年間で10本体験できる。通常教材も近畿圏の経営学科の大学の先生が本校用に作成したものを使用。課題研究では「ネット化する学習塾」「LCCとJAL」といった論文に各自まとめあげる。ビジネスプランコンテストでは全国大会に出場。マネジメント系の科目は新学習指導要領で正式に科目化されたが、本校はこの方面で先駆的かつ着実に成果を上げつつある。

【授業時数】
水曜・金曜は6時間で、他は16時15分までの7時間授業。土曜実施の私学並みの授業数を設けている。

【その他】
生徒数の男女比は1:3だが、新入生は男子が増えつつある。校内には食堂がある。

【まとめ】
本校は先生方のアグレッシブさと、生徒たちの目の輝きがひと際印象的な学校。特に実習時の生徒たちの集中度の高さは、グループワークであれ、個別のPCに向かうPowerPoint作業であれ、全く外部の動きに気を取られない、全生徒のめり込んだ姿に大変好感を持った。目的意識をもつことの重要性を痛感させられる。

もう一つは、アナログとデジタルの使い分けがはっきりしていること。近年タブレットを全生徒に持たせて授業で使用し「うちはICTの学校だ」と掲げている学校は少なくないが、多くは遊びの段階に留まっているように思える。それに対して本校は中途半端にタブレットではなく、情報生み出す機具であるPCに習熟させ、卒業時にはWord,Excel,PowerPointを始め一人前のPCスキルを身につけている。それでいて通常教科の授業は黒板と紙の教科書のアナログに徹し、理解と演習に主軸を置く。この中途半端な遊びで誤魔化さない本校の本気の姿勢が、関大の首席卒業者や公認会計士の合格者排出といったところに繋がっているのだろう。

本校の正門付近に大阪経済の育ての親である五代友厚の銅像がある。本校は明治13年(1880)に五代友厚が創設した大阪商業講習所にルーツをもつ。今から140年前の五代の志が、今も本校でそのまま最新の形で息づいているといえよう。

この記事を書いた人