城星学園中・高(大阪市中央区・女子校)

【アクセス】
大阪メトロ長堀鶴見緑地線の玉造駅1番出口から大阪女学院の脇を通って徒歩6分、中央線の森ノ宮駅2番出口からキューズモールを抜けて徒歩8分。と書いたのは、これらの出口が最短距離なため。それぞれの駅に乗り入れている他線からでは、1.5~2倍近く時間が掛かると見てよい。

【概要】
本校は、幼・小・中・高が一つのコンパクトなキャンパスに集まった総合学園。幼・小は男女共学、中・高は女子専門で、サンタマリアスイミングスクールを併設している。カトリック系のミッションスクールであり、構内には本格的な聖堂をもち、カトリックの教えを聖書から学ぶ「宗教」の授業も用意されているが、小原流生け花の教室を開催するなど日本古来の作法教育も同時に取り組んでいる純女子校といえよう。

【歴史】
本校の正門から西に100m進むと、大阪カテドラル聖マリア大聖堂(玉造教会)がある。本校は聖ヨハネ・ボスコの教えによる昭和28年(1953)の幼稚園・小学校の創立、昭和34年(1959)に中学校、昭和37年(1962)に高等学校をそれぞれ順次設立している。現在でもシスター(修道女)が教壇に立つ、全国で数少なくなったカトリックの女子校である。

【予防教育法】
聖ヨハネ・ボスコによる「予防教育法」が本校の思想の核。下記の説明が最も分かり易いだろう。

~「予防教育」は、生徒を健全に育てることを狙う。予防医学が健康を育て、抵抗力を強めるように、予防教育は精神の機能を育て強化する。身体が内部から強化されるように、心も内部から「道理と信仰」によって強化される~
http://www.v-cimatti.com/pub/link/education/

【大阪星光学院との連携教育】
2016年より、大阪府内の最難関校であり本校の姉妹校(聖ヨハネ・ボスコの教えによる創立)である大阪星光学院(男子校)との連携教育を開始し、2019年度より星光の教育企画室長であった麻野博司先生を本校の総合教育企画室長に招聘し、人事交流を開始している。星光学院の教育ノウハウを本校に注いでいくとのこと。

【城星学園独自の教育プロジェクト】
2020年度大学入試改革に向けて国内で様々な動きがある中、果たしてこの入試改革が完全に実行され、定着するのか?という疑問が本校にはある。フェイルセーフな教育体制を目指す必要があるのではないか、と。(フェイルセーフ=装置やシステムは必ず故障するという前提で、実際に障害が発生した場合に常に安全側に制御させること。※参考Wikipedia)

実際、東京大学の阿部公彦教授が6月19日に英語民間試験の利用中止を求める請願を国会に提出している。
https://www.excite.co.jp/news/article/Gendai_550955/
https://www.amazon.co.jp/dp/4894769123/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_KD1cDb9BE5GB8

ということで不安定さの残る、教育業界の流行には乗らず、本校独自の探求型学習「学びの森」を2019年度からトライアルで開始し、そこを追究していきたいとしている(神尾注:この取り組みは実は他校ではそう珍しいことではないのだが)。産学協同で化粧品開発に生徒が加わったり、難民支援、フェアトレード、教職員の特技を生かして自然科学講座など従来の教科の枠組みに囚われない多様な学びを展開していく。

【修学旅行】
中学はグアム、高校はイタリア。

【コース】
中学は25名×2クラスのVivace(ヴィヴァーチェ)コース、高校は旧特進コースのVivace、旧総進コースのAllegro(アレグロ)の2コースに分かれる。Allegroコースの方は更に「ヒューマニティ(文系)」「サイエンス(理系)」「音楽・美術・幼児教育」の3類型に分かれている。いずれにしても、1学年100名弱、平均で見て生徒11名に対して先生1名という少人数制の学校であることを心掛けており、面倒見のよさ、アットホームさが本校の特徴といえよう。

【日常の学習サポート】
毎日の朝学習、セサミプロジェクトと銘打った放課後の教室での自習と先生方による質問対応。

【進路】
卒業生85名に対する2019年春の延べ合格者数は以下の通り。
◎国公立大1名
◎私大71名
◎短大19名
◎専門学校5名
何が何でも高い大学進学を唯一の目的とする教育方針ではない、ということだ。

【入試】
◎中学入試
2019年入試は募集定員50名に対する49名受験で47名合格。うち入学は30名。

◎高校入試
2019年入試は募集定員80名に対する69名受験で69名合格。うち入学は42名。
例年の戻り率は25~28%程度だが、今年度は10%と厳しい数字になっている。

【奨学金制度】
中学入試・高校入試ともに各種奨学金制度が充実している。水泳部特別推薦制度なる入学金免除制度も用意されている。

【生徒の様子】
廊下ですれ違う生徒一人ひとりが「こんにちは!」「こんにちは!」とはっきり挨拶をしてくれた。程よい上品さと程よい元気さがある。歌手の和田アキ子が本校中学の卒業生とのことだが、和田アキ子の繊細な部分、後輩への思いやりの強い部分は本校の気質とリンクするような気はする。

【校舎】
おそらく築50年以上と思われるがとても綺麗に手入れされている。古きよき学校のイメージ。校庭を囲むコンパクトな校舎で中学棟にいるのに小学生が音楽の授業で歌っている讃美歌が聞こえてくる。窓からは幼稚園児が園庭で遊んでいるのが見える感じ。2016年には2階にテラスが設置され、昼休みにはウッドデッキに置かれたパラソルの下で友達とランチが出来る。食堂は無いので弁当持参または売店での購入。

スイミングスクールにもなっている25mプールは温水で年中利用可能。図書館は1.8万冊蔵書があるが本は古いかも。館内には60席の自習デスクが用意されており、図書館のメインはそちらかもしれない。PC室には1人1台のパソコンが並び、授業内でパワーポイントのプレゼンテーション、WEBサイト、LINEアプリといった作成を通して卒業時には情報ツールを使いこなす力が付きやすくなっている。

【おわりに】
購買や事務室、理事長室などが並ぶ本校の1階フロアをくまなく歩くと、至る所にミッションスクールならではの装飾と教会の雰囲気が随所に充満していた。私の経験では関東でもここまでの本格的なミッションスクールを体験した記憶はない。

恐らく偏差値的な見方をすれば、そんなにレベルの高い学校ではない、という見方、また最新のICTを取り入れる訳でもなく、古典的な学校の在り方を守り続けている学校であること、そういった派手でない頑なさのようなものが入試の戻り率10%といった最近の親や生徒の興味関心をひかない所に出てしまっている気がする。

しかし一方で大阪星光学院との連携は本校のこれからに対する危機感の表れであろうし、最難関校である星光と、中学はある意味その対極にいる本校とのギャップをどのように埋めていくのか、これは本校が解決して行かねばならない大きな課題になるだろう。

ネガティブなことを書いてしまったが、私個人としてはこういう古きよき風情を残した学校は好きだ。時代に流されない、不易さ。先ほどの1階フロアをじっくり歩いて初めて、ガイドブックやパンフレットでは伝わらない本校の良さというものが初めて理解できる気がする。

最後に正門から校舎に向かって左手に位置する小聖堂を見学させていただいた。小規模ながらも本格的なチャペル。生徒一人ひとりが神に抱かれているようで、内部にたたずみながら胸がいっぱいになってしまった。

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