途中式が大切な理由

中2数学で進度の速い生徒は「連立方程式の利用」を終え、「1次関数」に入ろうとしている。この、進度の速い生徒と遅い生徒の違いは「途中式を大切にしているかどうか」である。

途中式を丁寧に積み上げていくことは、守・破・離の「守」の部分でもあるので、情報処理の過程が細かく自分のなかに刻み込まれていく。ところが途中式をすぐ省略したがる、書かずに頭で処理したがる生徒の場合は、その習っている当座はストーリーを何となく理解した上で省略しているから表向きには正答を導けているが、その後しばらく時間が経過したときに、その過程がすっぽり抜け落ちて「あれ?どうやって解いたっけ?」という状態になり、過去に解けていたはずの問題の正答も導けなくなってしまう。

例えば「解の公式」であっても、公式を導く過程をきちんと書く習慣をつけておくと、いざ公式があやふやになった時に正確な公式を自力で示すことができる。途中式の省略癖がついてしまっている生徒は、万事「わかったつもり」でその場しのぎの行動になってしまうため、長期的に見て学力が身につかない。これは大きな問題である。