妄想力は強みになる

先週、「内職」(妄想プロジェクト)の話を書いたのだけれども。

外出の自粛で工作キットが売れているらしい、とWBS(経済番組)で報道していた。自動販売機を作るキットとか、道具とマニュアルがパッケージの中に完備してあるという。

確かにすごいものが出来るのだろうが、私は内心「キットじゃ駄目なんだよ、キットじゃ」とつぶやいていた。

私自身、小学生の頃にガンダムのプラモデルを、当時の流行の中で無理矢理キットを買って作っていた時期もあるが、やはり自発的でないものはそう長続きがしない。内なる喜びという点では、当時のファミコン(ゲーム)やガンダムより内職の方が遥かに勝っていたのだろう。

塾生の中にも、人に言えない喜びのプロジェクトのようなものを携えている者もいるのかもしれない。人を傷つけたり、道に外れるものでなければ大いにやってもらいたいと思う。

さて、
古い写真が出てきた。

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大学の卒業設計。バルサという柔らかい木材にニスを塗って磨くと家具のような艶が出る。研究室を訪れた知らないおじさんに「無人島か」と揶揄された恨みは一生忘れないが、毎日新聞社主催の毎日・DAS学生デザイン賞で入選。南港のATCで作品展示されたのが私が模型と共に初めて大阪に来たきっかけでもある。この年初めて開催された「せんだいデザインリーグ」というイベント(現在は日本を代表する卒業制作展)でもギャラリー賞という市民投票賞をいただいた。

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大学3年次のオブジェ作品。高さ2mあり、材料は紙管で重い。

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同じデザインの2作目はボルトの強度を増やしてショッピングモールで展示。

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先週の設計事務所で最も長期に関わったのが「長崎県美術館」。日本設計と隈研吾の共同製作。作っては検討、壊し、の連続で、学生アルバイトはひたすら模型を作り続ける。基本設計の詰めの段階の模型である。

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完成後の実物。日本建築学会の作品選奨に入ったり、複数の受賞で隈さん自身が新国立競技場などその後大ブレイクしていくきっかけの一つにもなった作品。

話がだんだん大きくなっていったが、妄想から始まる趣味がどこでどのように化けるかは分からないものなので、塾生には休校期間という絶好の機会にしっかり独自の妄想力を育んでもらいたい。