平成27年10月8日(木)読売新聞朝刊「気流」より。
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【床面に広告 抵抗感】
スーパーやレンタルビデオ店などに行くと、床面に貼られた大きな広告を見かける。私はこれに違和感がある。
というのも、幼い頃に「絵や文字が書かれた新聞紙や回覧板などをまたいだり、踏んだりしてはいけない」と、父から厳しくしつけられたからだ。それが当たり前だと思ってきたので、床面広告の上を歩くのがどうも苦手だ。
周囲の客たちは別に気にしている様子はなく、平気で踏んで歩いている。私は時代遅れなのだろうか。
警備員 宇田 智治(静岡県南伊豆町)
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宇田さんの意見に強く同意。
深夜にコンビニやスーパーなど店の中を幼稚園から小学校低学年くらいの幼い子が歩いていたり、そういう違和感が麻痺してしまうくらいに、この頃当たり前のようになりつつある。床面広告は私が大学生の頃だったか。JRの某駅でコンコースにマンションの床面広告が貼られ、嫌だなと思いながらその上を歩かざるを得なかったのを覚えている。
床面広告には人やキャラクターの写真や絵が載せられることもある。その上を踏むというのは、江戸時代の踏み絵のようなものだが、人の顔をも踏みにじることに鈍感になると、その鈍感はどんどんエスカレートしていきそうで怖い。文字や写真に魂が宿る、という考え方ではなく、それらは記号に過ぎないと、商業上の理由で広告手法が正当化されてしまえば、何をやってもよいということになってしまうので、言葉で説明のつかない違和感・・・そう、これを違和感というのだろう。