勤勉に勝るものはなし

八千代松陰という私学があって、この学校の教育目標が「さわやか、はつらつ、ひたむき」。元東海大学体育学部長の山口久太先生が1978年に開校させた。大半の高校は入試の際に5教科で判定するのだが、この学校は9教科で判定する数少ない学校の一つであり、それは勉強が得意な子でも運動が得意な子でも、音楽が得意な子でも、何かに向かってひたむきに走り続けている生徒に入学してもらいたい、という願いに基づいている。

実際、5教科が苦手でも、体育・音楽・美術・技家で4または5の評定を確保している生徒は八千代松陰を受験することがあるし、そういう、何かに対してひたむきな子に広く門戸を開いている、明るく元気な学校が八千代松陰だ。一度学校見学をしてみれば、校舎のつくり、生徒たちの雰囲気からまさに「さわやか、はつらつ、ひたむき」を感じ取ることが出来るだろう。

この「ひたむき」さというものが、少年・少女時代に養っておくべき最大のものではないだろうか。

確かに、目標を持ったり、目的意識を持つことも、それがあるに越したことは無い。しかし、仮に目標や目的が見当たらなかったとしても、それが無いから頑張れません、というのは違うと思う。目の前の課題に全力で頑張れるか否か、ということだけで、その生徒の行く末を占うことが出来るように私は思うのだ。

「やる気の問題」とおっしゃる保護者の方は少なくないのだが、人間大人になってもそんなにやる気がムクムクとみなぎってくる訳でもなく、それよりも目の前の課題に真摯に、漏らさず取り組むことが出来るかどうか、という精神力、集中力、誠実さについて考えたいと思う。「勤勉」という言葉は時代遅れの響きがあるかもしれないが、勤勉に勝るものは何もないのではないか、と心の底から思っている。