東葉高等学校(船橋市)

東京メトロ東西線と直通している東葉高速鉄道の飯山満(はさま)駅から徒歩5分、新京成線の前原駅から徒歩15分の場所に位置する東葉高校。かつては船橋学園女子高校だったが、10年前に共学化。現在は学校法人船橋学園・東葉高等学校となっている。

東京と千葉を結ぶ鉄道名の東葉をそのまま校名にしてしまったのは安直過ぎないか、といつも思うのだが、今回は3回目の訪問で、当然過去の塾通信にレポートを書いただろうと思いきや、バックナンバーを探しても出てこない。ということで本稿が東葉高校の初レポートとなる。

率直に言うが、「なぜ東葉高校に進学するのか」という意味がこれまで私の中で消化出来ていなかったのが事実である。進学実績が高いわけでもなく、本校に進学する意義が今一つ見えてこず、だからこそレポート化する意欲もわかなかったのかもしれない。

他校でも「これは無いな」と思った学校はレポート化しておらず、塾通信で取り上げることも一切ない。ところが今回、東葉高校はこういう学校なのか、ということがつかめてきた部分があって、それで本レポートを書く事になった。首都圏第46校目である。

本校は大正14年に創立され、来年で90周年を迎える。女子校としては80年の歴史があり、現在の松井校長が着任した後に共学化がなされ、その後通信制課程も設置された(通信制課程はインターネットを活用しており、年に10日のみスクーリングを実施する。今春の卒業生は13名のみ)。校内を歩いても、90年という歴史の重みを感じさせないのは何故だろうか。あくまで「今ここにある」学校ということで、歴史臭さは一切感じることが無い。

現在の校舎は築19年で、中庭を囲んだ「口」の字型の6階建て校舎である。まだまだ「新校舎」と言っていいほど綺麗だ。床はカーペット張りで、ゴミが落ちていることもなく清潔である。男女比は約半々ずつで、大人しい生徒が多いように見える。女子の方が元気はあるかもしれないが、総じて穏やかな印象を受ける。この生徒たちの様子から伝わってきたことは、本校は大学・専門学校への進学云々というよりも、「今という時間を充実させてくれる学校である」ということなのだ。もう、これに尽きる。

だから、進学実績などの尺度で他校と本校を比較するのではなく、生徒一人ひとりにとって充実した、おおらかで豊かな楽しい時間が流れているかどうかということ。これが東葉高校の最大の価値と言えるのだということを、私自身やっと理解出来てきた気がする。

授業も生徒たちは皆真面目に受けているし、例えば家庭科の料理実習であっても、必要以上に騒ぎ立てている生徒は居ない。それでいて、どことなく楽しそうな、充実していそうな空気が生徒から伝わってきたこと。これが東葉高校なのだ。

生徒は入学後、宿泊研修があり、続けて遠足に出かける。まず生徒たちの横の繋がりを作らせて、そこから文化祭・体育祭などのイベントでの団結力を高めていこうとしている。学習面では、任意で中学校の学び直しの朝補習を受けることも出来るし、逆に大学進学を目指す者には東葉塾というオリジナルの校内予備校も整えられている。

丁寧なカリキュラムと補習のシステムで、生徒を大切にしながら学習面の面倒を見てくれるのは、とても良いことだ。進路先は大学が約50%で、30%は専門学校に進んでいる。大学進学希望者のために、選抜クラスも用意されている。校舎は、大きな体育館に各教室と各実習室(調理室・家庭科室・美術室・工芸室・書道室・音楽室)、そして和室・茶室・屋内日本庭園が過不足なく配置されている。決して豪華さを誇っているわけでもなく「ちょうど良い」。

本校は何と言っても、書道科の井上始源先生の存在感がずば抜けて大きい。説明会などのイベントでは、井上先生から直接色紙や扇などに希望する文字を書いて頂ける。

6階の書道室には井上先生や生徒の作品が数多く並び、書道関係の書籍や道具に囲まれて、超本格的な「書道」の場になっている。書道をしたい生徒は東葉高校に絶対に行くべきだろう。井上先生のように力のある先生がいらっしゃるということは、学校の存在感、重厚さ、その空気圧のようなものが自然と生まれてくるような所があって、実に素晴らしいことだと思う。

このように、他校と比べて本校を見るのではなく、本校をクローズアップして見ていくうちに、本校の魅力が何となく自分の中に感じられてくる学校。在校生や保護者にとっての満足度は大きいのではないか、と感じた。有意義な今回の学校訪問であった。

(10月7日訪問)

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kamiojuku