二松学舎大学附属柏中学・高校(柏市)

いい感じに変貌してきてるなーと強く好印象を受けているのが近年の二松柏。「人間力の向上」と「学力の向上」を教育の二本柱に据えている。大学の方は今年創立138周年で、高校が48年、中学が開校5年。スーパー特選、特選、進学それぞれのコースに応じた授業が功を奏しているということもあるが、大学進学実績の向上は目覚ましい。

それは国公立大学、早慶上理、GMARCHといった難関私大の合格者数の増加はもちろんなのだが、神田外語大や昭和女子大・清泉女子大といった、小規模でメジャーではないが評判の高い大学への進学も充実させており、それは一言、進路指導の手腕ということに尽きるだろう。

「生徒一人一人に働きかける」ということで進路指導を行っているが、それぞれの大学の特性について進路担当者が熟知した上で生徒に必要な情報を提供するという、進路指導における王道を忠実に守っているという二松柏のご担当教員の誠実さが見事に表れているように思う。

今後生徒全員にタブレット型端末を所有させて、それを授業に活用させていくこと、また中学校であれば「沼・田んぼ・雪・都市・古都」の各教室といった情操を育む体験型授業を1年次から丁寧に積み上げていくことで感情面も知識面も双方から刺激していくという、私学として十二分かつ最高の取り組みが出来ているのではないだろうか。

中学3年はこれらの取り組みから最終論文「探究~自問自答」にまとめあげる。「カンニングはなぜ起きるのか~現代日本と中国科挙を比較して」といった優秀作品をはじめとして、市立中学校ではまず経験できない思考の深化が形になって表れてくるのは何よりも素晴らしい教育効果だ。

本校では大学を含めて「論語」の理解にも力を入れている。九段校(附属高校)も含めて二松学舎には特有の「おおらかさ」があるように感じるが、それは悪い方向に転べば「中途半端」感が漂ってしまうし、良い方向に転べば「懐の深さ」に転ぶことも出来る。現在の二松柏ではその大らかさを残しつつよい感じにゆとりを持たせて人間教育を実践している。

今の二松柏だったら生徒を託したい。そう素直に思える学校になった。やはり、着任3年目、長谷川成樹校長の手腕だろうか。

(6月24日訪問)