個の指導、個を見抜く眼力

気になったコラムを見つけたので転載してみる。

=福井新聞コラム「越山若水」=

「論語」先進にある孔子と弟子のやりとり(2013年10月22日)

「論語」先進にある孔子と弟子のやりとりはすこぶる興味深い。子路(しろ)と冉有(ぜんゆう)の2人は孔子に同じ質問をした。「道理を聞いたら直ちに実行してもいいでしょうか」

▼何事にも積極的な子路に対して、子曰(いわ)く「存命の父兄を差し置いて、どうしてそのまま実行できようか」。むしろ控えめに、慎重に行動するようくぎを刺した

▼他方、常にオドオドしている冉有への返答は違った。子曰く「教わったことはすぐさま実践しなさい」。自制を促した子路とは全く反対で、扇動的な言葉をかけた

▼このエピソードについて、2005年のライブドアによるラジオ局買収問題で知られる実業家、北尾吉孝さんは自著「君子を目指せ小人になるな」(致知出版)で取り上げ次のように解説している

▼孔子には3千人の弟子がいたといわれる。どこまで弟子のことを知っていたかは疑問だが、できうる限り個に合った教育を実践した。これこそが“孔子流の教育”だという

▼有名なことわざ「人を見て法を説く」や四字熟語「応病与薬」と同じ意味である。ただそのためには個々の人間的特性を見抜く“眼力”が必要になる

▼教育論やリーダー論を語るとき、高潔無比で万世不易の理念、無私無偏で首尾一貫した信念こそが大切だという。しかし人間は十人十色、人それぞれ。何より一人一人に合った指導が肝心である。孔子のごとく。

出来うる限り個にあった指導、そのために私自身が個々の人間的特性を見抜く”眼力”を養うこと。この点は神尾塾にとっても最も肝になる部分だと思った。