アメとムチ

先週に続き「けじめ」について、大人目線の話を書いてみる。

大人の子供に対する態度としては「アメとムチの使い分け」が非常に大切であり、甘いだけでも厳しいだけでも駄目なのだ。何事にもバランスが大切で、私においてもその時々の状況に応じてアメとムチを使い分け、生徒に対する言葉づかいや声のトーンでさえもあえて使い分けるようにしている。

そしてアメの時は徹底してアメで、ムチの時は徹底してムチでなければならない。ところが、家庭によっては「ムチになりきれないムチ」を使っている例も見受けられる。本来、厳しくする時は心を鬼にして、厳しさを貫かねばならないのだ。例えば子供とひとつ大切な約束事をしたのなら、その約束を貫徹するように親側も筋を通さなければならないのだ。

一度取り決めた約束を、時間が経って「本人にとって重くてかわいそうだからあの時の約束は無しにしておこう」と大人がブレ始めると、子供にとって「約束」が口約束だけのものとして形骸化し、親をナメ始める。そして、逃げ癖のつく子供になってしまう。

卑近だが私の授業の例では、今日はひとつのプリントを仕上げて授業を終える、と宣言したらほぼ100%それを貫く。授業の見通しの上で今日この1枚だけは何が何でもマスターさせねばならないと思ったら、指導者側は絶対にブレない。生徒の取り組みが鈍く、想定した時間を遥かに越えたとしても、生徒が何度も振り返って時計を確認したとしても、絶対に終わらせるのだからな、という気迫で生徒に向かう。

それでないと本当に学力は身につかないのだ。言葉づかいや授業態度も私は細かく指摘する方だと思うが、言うべき時に言うべきタイミングで言っておかないと、後あと歯止めが利かなくなるから、面倒がらずにきちんと言うことが大切だ。

「筋を通す」ということを身をもって示すこと。これが子供に見せるべき大人の背中であると私は考える。