集中力と潜在意識

鎌ヶ谷・白井地域の新聞配達を一手に請け負っている会社の広告媒体に出稿している。基本的に広告主は広告したい内容を営業マンに伝え、専門のデザイナーがレイアウトをして紙面を作成してくれるのだが、私の場合は自分で原稿作成とレイアウトを行い、デザインソフトのデータ作成までを完了させてから入稿している。すると、プロのデザイナーによる詳細な補正を経て最終形が完成する。

さて、次回広告掲載の10月31日号から部分的なリニューアルを図ろうと、パソコンの画面上で「ああでもない、こうでもない」と配置や内容の変更に試行錯誤を繰り返してみるのだが、何時間かけても納得のいくものにまとまらない。その日は仕方なくあきらめて、他の作業にかかることにした。

製作を放置したまま数日。ある日になって、翌日が入稿の締切日だということを突然知り、大いに焦ることになった。まだ何もまとまっていない。翌日、営業マンの方が訪問される数時間前に昼食を取りながら俄然パソコンに向かう。すると、今まで何でまとまらなかったのだろう、というくらいにマウスを持つ手がスルスルと動き、一定の形にまとまってしまった。

と、いう出来事があったのだが、ここで自分の中で何が起きていたのかを考察してみた。

一つは「集中力」ということだ。何時間を費やしても、集中をしていない時によい成果は出てこない。しかし、締切直前に気持ちが追い込まれて、対象に全神経を集中する。すると、火事場の馬鹿力のように自分の中の全神経が結束し、一定のまとまった仕事を成し遂げてしまう。

そして、もう一つは「潜在意識で考える」ということだ。簡単に言うと「頭の片隅でアイディアを寝かせておく」のである。お酒づくり、チーズづくり等の熟成期間を要する食品作りにも通じるかもしれない。 つまり、何が何でもその場で即興の結論を出す必要はなく、まとまらない時には「頭の片隅にそれを置いておく」という意識を持つことにするのだ。そして、表の意識からはしばらく忘れた気分になっておく。すると、表に出ている顕在意識の奥底で、自分にも見えない潜在意識がちゃんとその問題を考えてくれるのだ。

そういった時間を経て、ふと自分が大きな集中力を発揮しようとした時に、自分の奥から寝かせておいた案がグッとまとまった形で表れてくる。

卑近な例で見てみよう。

千葉県公立高校の国語入試問題には100点満点中12点分の作文問題が出題される。この時、課題を見てウーンとうなったまま手が止まってしまっては時間の無駄となり、まともな点数は取れない。そこで、まず最初に課題を見てしまって、どうしたらよいかを少しだけ考えながらアイディアを頭の中で寝かせておくという気持ちを持つ。その後他の問題を先に解いてしまってから作文に戻る。そうするとある程度の文章が書けるようになっているものだ。

「集中力が仕事をする」ということと「潜在意識に考えさせる」ということ。勉強と仕事のヒントにはなる話かと思う。