生徒からのメールや作文、記述問題を見ていて「下手だなあ」と思うのは、それが具体的な物言いになっていない場合である。
例えば「熱が出ました」という表現。「熱が出ました」だけしか書いていない場合、一般的には「平熱よりも高い温度を発しているのだな」と読むことは出来る。しかし、そう読めているのは「読み手の良心」と「想像力」に依存しているに過ぎない。
読み手がひねくれていれば「35度熱が出たの?」と基準値を自在に操って読まれることも出来る。そのような「読み手の良心」と「想像力」に依存した文章では駄目だということだ。
例えば「37度熱があります」と言った場合でも、その人の平熱が何度であるかによってその価値は異なる。平熱が35度の人にとってはそれは一大事だろうし、平熱が36度だったら微熱の扱い、平熱が37度の人にとっては特に問題のない体温となる。
だから「平熱は36度ですが、今は37度あって、微熱が出ているようなので大事をとって塾をお休みします」といった風に、相手に真意が伝わるように具体的に書かなければ文章としては失格なのだ。
「いつ=when、どこで=where、誰が=who、何を=what、なぜ=why、どのように=how」という5W1Hはひとつのヒントになると思うし、また、主語(行動の主体=誰が)と述語(何をする)を意識することも重要である。
この点を押さえておくだけでもまあまあの文章になるとは思うのだが、毎日一行日記を書いて、その日にあった事実と感想を具体的に記す練習を続けるのも無駄にはならないであろう。