女子聖学院中学・高校(北区)

JR駒込駅東口を出ると、道幅の狭い「駒込銀座商店街」がある。ここを途中で右折した道が「聖学院通り」となっている。商店街から見て手前に男子校の聖学院中学・高校があり、その脇にある幅の狭くなった聖学院通りの坂を上ると改築5年目の女子聖学院の校舎が見えてくる。田端高台通りという大通りに正門は面している。

本校は1905年の創立で今年108周年。キリスト教の学校であり、生徒の「8割」がクリスチャンである。本校のクリスチャン率は特に高いと言える(男子校は異なる)。高校募集は行わず、中学からの6ヶ年一貫教育を行っている。

「女子聖大好き!」というキャッチコピーがパンフレットに掲載されているが、学校が好きでたまらないという生徒が多いという。これは女子校によく見られる現象だが、学校自身も「楽しく生活できる自分を受け入れられる学校である」ことを目標としている。

で、なぜその様になるかについては、毎朝の礼拝に要因があるのでは、と学校は分析している。つまり、礼拝において聖書を学ぶことで『自分が肯定されていく』、根本的な自己肯定が育まれるというのだ。自分が根本的に肯定されているから、隣人(となりびと)をも認めて互いに響きあうことが出来る。隣人としっかり向き合える生徒を育成しようとしている。この点は、本校を把握する上で重要なキーワードであろう。自律・自立し、人と人とが支えあう、そんな場面が本校には数多く設けられている。

最終的には、生徒に相応しい大学への進学を目指す。国際社会に羽ばたける人材を育成することを目指している。週6日登校のうち、礼拝は週3回はパイプオルガンの鳴り響くチャペルにて、残り週3回は教室で行っている。学年ごとのクラス人数は、教員室脇の黒板で確認したところ中1:29名、中2,3:34名、高校生:43名程度となっていた。

学習カリキュラムは5教科を中心とし、英会話のみ「自分で話せる英語力」を少人数で身につけるため、3段階にクラス分けをしている。それ以外は習熟度別の設定は行わず、学力に関わらず混合クラスとなっている。特進コースも設置していない。大学の理系進学率は19%、うち医・薬系が11%を占めている。高校のクラス編成はこれまで文系4、理系1クラスだったが、近年は文系3、文理系2クラスと理系が微増している。

進路指導は、中1の2泊3日「翠(みどり)の学校」から開始する。宗教教育を土台に「自分の賜物に目を向ける」ことから始めるという。中3で「働く」ことについて考え始め、これはソニー生命と提携して40名のライフプランナーを学校に招いて5-6名単位で模擬家族を作らせて生涯にかかる費用を算出する。そこから逆算し、どのような仕事に就くかという意識(危機感)を持たせる。高1で学部学科調べ、高2冬には第1志望校を決めさせる。志望理由書もこの時点で作成する。

単に大学を決めるだけの進路指導ではなく、「生き方を考えさせる進路指導」であるという点は、本校の特徴として是非理解しておきたい。自分の人生を自分で選んで考える、自立した女性を育んでいる。

入試については、本校はまず国語・算数の2科目を重視している。その上で、2科目で合格ラインに届かない生徒は理科・社会を加味して合否を判定。生徒の居住地は「時間がかかっても女子聖に通いたい」という生徒・家庭の意向を反映して、広範囲に及んでいる。東京では西東京・東村山・府中、千葉では印西・千葉市、神奈川では川崎・横浜からも生徒が通学している。

本校は新校舎が改築5年目だが、館内は木質系で温かみがあり、資料室や旧校舎のチャペルに置かれていた椅子が再利用されているなど歴史と風格を感じさせる造りになっている。

生徒の気質は、多少やんちゃな伸び伸びとした雰囲気である。スカート丈の短い生徒も時々居たが、制服検査は行わず、程度が甚だしい時には先生ではなく生徒会が動いて制服着用について改善指導を行っている。つまり頭ごなしに先生が生徒を押さえつけてコントロールするのではなく、学校の大きな懐の中で生徒が自由に泳いでいる、多少自由の度が過ぎてもそれは自律に任せ、その結果適度なバランスで生徒が自主性を保てる形になっている。これは学校側に『技アリ』と私は見た。これは「放任」とは違う。

運動会も企画・運営は生徒自身で、中学生は高校生のグループに混じって練習、高校生が中学生を指導している。これが支えあいだ。言葉に出さずとも宗教「心」が骨身に浸透し、それが随所に教育に反映されている、高度な宗教教育が女子聖学院で行われている。非常に勉強になる学校訪問であった。

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kamiojuku