入塾して大体3~6ヶ月未満の生徒に見られることだが、問題を解きながら「ハァ、ハァ」とため息をつく生徒がいる。恐らく、本人は自覚がないだろうが、ため息を聞くたびに私は「ああ、この子はこれまでの人生でここまでの負荷を掛けられたことがないのだろうな」という思いを持つ。
一般的に新しい生徒が入塾後、数回の慣らし運転を経て、徐々に授業時間と宿題量をその生徒に見合った適正の量に増やしていくのだが、入塾した成果を早期に出させるためにも一定の負荷を掛けていくことになる。当然、宿題忘れ、解き残しは許さないし、字を丁寧に書くなど、真摯にその課題に向き合うよう訓練していくことになる。
そうして、「当たり前のこと」を「当たり前に出来る」生徒になるように仕向けていく。生徒の多くは、これまでの人生でそれが培われて(指導されて)来なかったことによって、学校で提出物を出さない、テストの順位が低い、通知表の評定が低い、という甘ったれた生活を当然のように繰り返してきた。
また、授業態度に関しては生徒が誠実な態度であれば、私も同じ目線に立って温和に接するし、逆に万が一生徒が少しでも不遜な(生意気な、ふてくされた)態度をとったならば、私も同じ態度で返す。起伏の激しい(ムラのある)精神状態、根気の続かない状態、そういったものは徹底してねじ伏せてやりたいと考えている。
なので、勉強につまずいてる生徒というのは、大体の場合において人間性(生き方、考え方、行動)の面で何らかの修正をしていかなければならないケースが多く、そこにメスを入れるのが私の仕事なのだろう。
よく、「勉強が出来ないから」、とスポーツの方に逃げる生徒もいるが、運動の本当に出来る生徒は勉強が出来る場合が多いのは有名な話で、それは恐らく根本的な精神修養が出来ているかどうかの問題なのだと思う。本当は、家庭で、学校で、幼少期から毅然とした取り組みが行われていればここまで状況は悪化しなかっただろう、と思える場合が多い。それは多くの生徒、家庭の方々と接していて「差」を感じることではある。
何はともあれ、入塾するということは「性格改造」が始まることを意味するのである。