久しぶりに乗車した都電荒川線。下町のお年寄りがゆっくり乗降するのんびりした路線だ。その都電荒川線または日暮里・舎人ライナーの熊野前駅から徒歩5分。首都大学東京の荒川キャンパスの向かい側に位置する中・高全生徒400名の小規模女子校。大正15年の創立で、かつての東京府北豊島郡の地名から校名がつけられた。
2年ぶりの訪問となったが、この4月に説明会を開催するのは私学としては異例だろう。生徒募集に対する危機感が根底にある。ただ、学校の質というものは、偏差値や情報誌では計れないものがあり、本校はまさに足を運んで価値を実感できる学校である。
本日は塾関係者対象の説明会であったが、知名度があっても塾関係者が見向きもしない、つまり説明会の動員が出来ない学校は基本的に避けた方が良い学校である。その点、本校はプロの信頼厚く、本日も100名を超える満席の入りであった。家庭からすれば、カタログ感覚で偏差値が低い、進学が物足りないという表面的な要素で学校を判断しがちだが、プロは逆にこういう学校にこそ安心して生徒を預けたい、送り出したいと思うのである。
在校生の姉妹率・卒業生子女率は20%。リピーター率が高く、一度入学してしまえば、姉妹にとって他校は考えられないということだろう。満足度が高いのだ。
本校の特徴は少人数教育(中学1クラス20名程度、高校1クラス30名程度)であり、きめ細かく丁寧に一人ひとりの生徒を見てくれるところにある。華道・茶道・ギターが必修、英語は外国人の専任講師が3名コミュニケーション会話の授業にあたる。高校では特進・総合コース、国際英語コースに分かれる。
いずれにしても、とにかく真面目な学校である。先生方が真面目で、真面目さゆえの硬さ、謙虚すぎてしまう印象を本校を訪問する度に受ける。和洋九段、麹町などの併願校と同じ土俵で戦うことをせずに、本校の取り組みをより強い軸とし、茶道・華道も「ここまでやるのか!」という位に本格的に行えばよいと思う。「唯一北豊島」として、私学というよりも私塾のようなコンパクトさと力強さを内外に訴えていけば、生徒募集が強化されると私は思うのである。
現行では、複数の併願校を立てた時、最後の決定打を欠いているがゆえに受験生が他校に流れてしまっているように感じる。実にもったいない。3年後に校舎改築を控えているが、強い私学として少子化の中を生き残ってもらいたいと願わずにはいられない。
最後に創立の理念を読んでおこう。
「教育の基調は 人間愛である かぎりない愛情の中から すぐれた才能を見出だし これを育てのばす 天賦の芽を摘んではならない
人は必ず美しいものをいだいて 生まれ出でているものだ」(創立者・秋上ハル女史)