和洋九段女子中学・高校(千代田区)

東京メトロ九段下駅から徒歩5分。1番出口を出て左側に皇居、正面に靖国神社を望む。東京理科大の九段校舎の角を曲がると正面に本校がある。校舎はS,A,C,Mの各棟、通りを挟んで高校生用のH棟に分かれている。隣接して暁星学園、フィリピン大使館、近隣には白百合学園、九段中等教育学校がある。都内で最も閑静な地域だ。

塾生が本校に在籍しているが、学校生活が実に楽しそうだ。本人自身も学校生活全般楽しくて仕方がないらしい。ここまで学校生活が楽しい、ということは他ではそうあることではないように思う。中高一貫というと、中学後半から高校初期にかけて「中だるみ」が起きてしまう。本校では、春・夏・冬の長期休暇を中心に大量の課題を出している。授業進度は、中3の時点で公立中学と比べて半年ほど先取りしている。

校庭がないため、屋上のテニスコート、屋内温水プール、体育館を使用してスポーツを行っている。体育祭は、国立代々木第一体育館を利用。高校3年生の「扇の舞」が名物となる。校舎はカーペット張りで、1,100人収容の講堂(コンサートホールのようだ)、調理室、被服室、ダンス室など施設が充実している。食堂は無いが、2年後を目安にカフェテリアの設置が予定されている。いずれにしても、よい落ち着きを持った頑丈な校舎であるため、私立学校の校舎としては最上位クラスと言えよう。制服もかわいらしい。

女子校として、知育徳育のバランスが取れたカリキュラムとなっている。礼法、邦楽といった、私立学校ならではの教育も織り込まれている。ただし、バランスが取れすぎていて学校としてのアクのようなもの(インパクト)が外部に伝わってこないのも事実といえよう。「和洋九段はこれ!」といえる目玉を感じられない物足りなさはある。

中高一貫で高校募集はしていない。ほとんどの生徒が大学進学をし(半数以上が推薦利用、和洋女子大は卒業生の約10%)、進路決定の上でも決して遜色は無い学校だ。しかし、例えば中学入試の時点で併願をした場合、和洋九段を選択するための「最後の一押し」に欠けているのかもしれない。というのもこの数年入学者数が落ちており、H11年311名をピークに、H17年290名、H21年254名、H22年185名、H23年159名、H24年105名と近年で特に急降下している点は大いに注目だ。本校が受験生に本校を選ばせるための「決定力」、ここを考えていかなければいけないのではないか。プロデュースの問題とも言えるのかもしれない。

説明会では、濱名言實名誉校長が登壇され5分ほどのお話を頂けるのだが、これが実に素晴らしい。島崎藤村でさえも若い頃自身の進路に大いに悩んだという内容だったが、教育者の講話とはかくあるべき、という説得力を持っていた。ただ、濱名名誉校長の存在に対して、教職員の先生方が体を堅くしている印象を私は受ける。せっかく若いスタッフを主任クラスに登用していても、現場が伸び伸びと自身の裁量で仕事出来ていないように感じる。現場の気持ちの自由さ、のようなものが本校の課題のような気がしてならない。

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kamiojuku