麗澤中学・高校(柏市)

南柏駅下車で、バス乗り換え。「麗澤の森」と呼ばれているが、木々の豊かな大きな公園の中にモラロジー研究所・中学・高校・大学が建っているというこの上ない学びの環境である。キンモクセイでさえ構内に500本植わっている。

創立者はモラロジー(道徳科学)を提唱した廣池千九郎(ちくろう)法学博士。

麗澤は高校入試では難関校、中学入試では準難関校といえる。つまり、麗澤に入りたくて入る生徒が集まる学校。高校受験の入試相談も無く、一般入試が本命。「だからこそ価値ある学校なのです」という学校側のメッセージは真理である。

生徒の雰囲気は、公立中高一貫校の先駆けとなった都立白鴎、小石川の一期生によく似ている。いわゆる暗記型の定番受験でなく、洞察する力と発想する力を問われて選抜されてきた生徒たち。意欲にあふれ、社会に関心を持ち、次の取るべき行動を自分で常に考え認識している生徒。つまり「リーダー」タイプの生徒が集まり、彼らを伸ばしてくれる学校と言って良いだろう。大学の進学実績も申し分ないが、何よりもモラロジーを基盤とした情操教育。宗教とはまた異なるアプローチで「心」の教育を展開している。

20年前まで全寮制だったのだが、今でも1割の生徒が入寮している。寮生活によって生活時間が律され、食事・運動・睡眠のバランス、自学自習の向上心も高まる。寮に入ると自分で身の回りのことをしなければならない。「初めて親に心から感謝をしたくなった」を語る女子寮長の高3女子生徒の言葉に、私は麗澤の真髄を感じた。