樟蔭中・高(東大阪市・女子校)

樟蔭と書いて「しょういん」と読む。

【コース】
いきなり、コースの話。

<中学校>
◎国際教養コース
◎総合進学コース
◎身体表現コース
※各学年、桜・橘・李の3クラスにそれぞれ3コースの生徒が収容されている。

<高校>
◎国際教養(旧・特進)コース
◎看護系進学コース
◎キャリア進学コース
◎身体表現コース
◎児童教育コース
◎フードスタディコース

【キャリアサポート制度】
不登校の生徒が中高6学年で現在25名利用している。9時から15時まで個別ブースで勉強し、教科担任の指導が適宜入る。教室に復帰させることを目的とした指導ではなく、将来の社会的自立に向けた支援を行うことが目的で、実際にこの制度を利用した生徒は四年制大学に全員進学している。こういった取り組みは他校では見られない本校独特のものである。

【進路】
◎四年制大学225名(内訳:系列大123名、他大102名)
◎専門学校35名
◎短大20名

同じ小阪キャンパス内にある大阪樟蔭女子大学に進学する率が高い。
また、大学進学者のうち一般入試を経ている生徒数は四年制大学受験者232名のうち15名で、割合にして6.5%と出た。圧倒的にAO・指定校・公募制推薦を活用した大学進学が多い。

【まとめ】
近鉄奈良線の河内小阪(こさか)駅から徒歩5分。鶴橋から河内小阪まで乗車時間10分なので、大阪市内から抜群に通いやすい場所にある。小川も流れる静かな町並みの菱屋西エリア。小さな橋を渡って小阪キャンパスにこじんまりと大学・中学・高校・幼稚園が建ち並んでいる。

大正6年(1917)の創立で今年102年。正門付近の記念館は登録有形文化財に指定、他に樟古館も歴史的建造物。そんなキャンパス散策も楽しい学園で、手前に中学校舎、奥に高校校舎が分かれて建つ。

中学校舎の1階には図書館があり、5万冊の蔵書。学校図書館にはめずらしくDVDの貸し出しを行っており、スポーツ・ダンスに力を入れる身体表現コースを持つ学校ならでは。図書館のフロア随所に一人掛けのクッションが置かれており、司書の先生と「いやあ、この心づくしは女子校ならではでいいですね」と会話をさせていただく。館内奥に芸術雑誌「別冊太陽」のバックナンバーがずらりと並んでおり、「芸術の本は内容が古くならないから、ずっと楽しめますねえ」と再び司書の先生と、他に誰もいない館内でしばらく談笑。

中学校舎を見学。全教室よい雰囲気。コース別に10名程度ずつ少人数制の授業を展開しているため、適度に活発で全ての生徒が授業に参加している姿は微笑ましい。ただし、私のような廊下からの見学者をいちいち気にする集中に欠けた感じは全体的にある。

高校校舎もエレベーターで4階から順に見学。4階は中学校舎と並んでよい授業の雰囲気であったが、高校校舎の3階、2階は寝ている生徒が目立った。そこは残念。仕方なくコクンと居眠りしてしまうのは百歩譲って仕方ないが、故意に突っ伏して寝ているのは、生徒が寝ているというよりも先生が寝かせているという言い方が正しいので、絶対に改善すべき。クラス全体の士気も下がる。

コース別でフロアが分かれている訳ではないので、学年によって中だるみが大きいのかもしれない。

校舎は芸術系の教室が充実しており、工芸、書道、一般美術と廊下に展示してある作品はなかなかの秀逸な見ごたえあるものであった。本校の学校案内パンフレットは芸術系の仕事に進んだ卒業生が描いたというド迫力のカラフルな絵画だが、そこに通じる現役生の力強い作品を学校見学で見ることが出来る。

ずば抜けて尖った雰囲気であったり、強い規律で結ばれた感じではなく、楽しい3年間ないし6年間を過ごして系列大学に進学する「平和な女子校」といった趣の印象を私は受けた。

正門近くの樟古館(旧試食室)前には創立者の森平蔵についてガイド看板が設置されている。創立者は実業家で、自らの子女に中等教育を受けさせたい想いから、現在の貨幣価値で40億円近くの私財を投じて本校を設立。

キャンパスを一周して、森平蔵の強い想いに今もなお学園が満たされている印象を受けた。という地点にたどり着いて、初めて本稿冒頭に書いたコース設定、少人数制授業といった制度設計が理解できるのかもしれない。

追記
帰りも河内小阪駅から鶴橋に向かう。近鉄線が町並みを見下ろしながら高架を走っていくのだが、途中の布施あたりの車窓風景。瓦屋根が多いのは、大阪に自然災害が少なかった故か。平屋~2階建ての低層住宅に黒い瓦屋根、近代化されていない古い町並みを見ていると、昭和初期の日本の町並みってこういう雰囲気だったのかな、とある意味タイムスリップしてしまうような不思議な感覚に陥る布施界隈である。

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