プール学院中・高(大阪市生野区・女子校)

「プール学院」という名前は私が小学生の頃から気になっていて、問題集の出典欄に「プール学院」と書いてあると『この学校はプール(pool…水泳)の学校なのだろうか』と子供ながらにぼんやり考えていた。

それから数十年、ようやく謎が解けた2019年9月10日。猛暑の中、桃谷駅を南口に降りる。桃谷のあたりはJR大阪環状線が境界線となって、西側の天王寺区と東側の生野区に分かれる。線路沿いの生野区に通じるガード下をくぐると、すぐプール学園の西門が見えてきた。

勝山通に面した正門に向かうと骨が折れるが、西門であれば改札口から徒歩5分もかからない。西門に入ると校舎の回廊のまわりがプール、いや、ビオトープ(水盤)で囲まれていた。現校舎は築11年。建築家は設計しながら「プールだ」と自己ツッコミを入れる瞬間があったに違いない。尚、ビオトープは見た目がよいが、猛暑と真冬を除いては蚊がわいて管理が大変だろう。

さて、本校は明治12年(1879)創立のキリスト教の学校である。イギリス人として初めて日本に派遣された主教のアーサー・ウィリアム・プール師(A.W.Poole)によって設立された。ここで謎解き・・・水のプールは「pool」プール師は「poole」である。キャンパス内に「pool」は無い。

コースを見てみよう。6年間の中高一貫コースは
◎一貫特進コース
◎キリスト教大学推薦コース
◎総合特進コース

に分かれる。「キリスト教大学推薦」というのも随分ストレートだが、文系専門で同志社女子・神戸女学院・関西学院・同志社・立教・ICU・青山学院・明治学院・東京女子・聖路加国際のキリスト教系大学へ約50名枠の指定校推薦が受けられる。「総合特進コース」は高2・3で芸術系(芸術大・音楽大志望)の専攻も可能。

高校入学生は
◎スーパー特進コース
◎特進コース

となり、「特進コース」にて同じく高2・3から芸術系の専攻が可能になる。

大学進学は中入生で1/4が国公立大現役、1/4が国公立大浪人、残りが私大進学。私大は産近甲龍以上で60%の進学率。特進コースは主に指定校推薦を活用する。早稲田1、中央1、立命館2、関西5、近畿17など有名大学だけで125枠。

ここまで指定校が充実しているのは本校が積み上げてきた学力の蓄積がその理由なわけで、かつては生徒の振る舞いの好ましくない学校としてのイメージが古い先生方にはあるようだが、現在はそういった旧来のイメージは払しょくされている。まあ、生徒たちは活発といえば活発な印象もあるが、女子校としてはこれぐらいで良いだろう。

本校は大阪府下にある私立女子校の中で伸び率がトップ(ベネッセ学力推移調査)だが、担任の先生が生徒の生活習慣から自宅学習まできめ細かく把握していること、卒業論文により探究力を身につけさせていること、All Englishの英語授業、中3で生徒の52%が英検準2級を取得、をはじめとして在籍している生徒の学力をのばす確固としたノウハウを持っている。この点が恐らく本校の最大の強みだろう。グローカル(グローバル+ローカル)教育、徹底した個別指導、豊富な授業時間、キャリアデザインといった独自の取り組みに注目したい。

高入生の中学時代の5教科評定「20(オール4)」に対して『(オール5が取れない)その生徒が持っている甘さをなくす』と断言する本校の先生の目線に鋭さを感じた。

本校は系列に短期大学をもつが、2018年に同じく系列のプール学院大学が桃山学院に譲渡されて桃山学院教育大学と改称された。また今年度より理事長・校長にソニー出身(人事・法務など)で民間人校長として神奈川・東京・静岡の中高校長を歴任された吉田幸一校長が着任。校長が教務のトップならば理事長は会社の社長のようなもので経営全般に責任を持ち指揮を執るということだ。プロ経営者である吉田校長が招聘されたということは、本校の何らかの立て直し、といったミッションが吉田校長に託されているのかもしれない。従来の先生方による強い教務力を持っている学校なので、吉田理事長・校長の経営手腕と共に今後変動が大きく見えてくる学校なのかもしれない。

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