高校生になると、大学・専門学校・就職という次の大きな進路の分かれ目が見えてくる。私は高校2年の夏が、その行方を決する大きな節目だと考えており、この頃には具体的な方向性、選択肢を持っておきたい。かけ離れた選択肢でも良いから、より具体的な方針案を出しておくことが大切になる。
しかし、この時期になって自分は何に向いているのか、自分は何をしたいのか分からない生徒が多い。分からないまま時間が過ぎて高校3年に突入するのだが、私が思うに、これから進むべき道は、自分がこれまでたどってきた道の中にヒントがあると考えている。
つまり、徹底的な自己分析をすることだ。これは今の自分だけを診るのではなく、自分が物心ついた時から幼稚園、小学校、中学校とさかのぼり、「何をしている時が一番楽しかったか」「何をしている時にイキイキしていたか」「何をしている時苦痛だったか」ということを常に考え続けることである。これを何年も何年も常に頭の片隅で考え続けることで、必ず発見が出てくる。そして、より自分に適した進路に自分自身で導けるようになると考えている。
また、このためには幼少期から、得手不得手に関わらず、色々な体験・経験をさせていくこと。これは親の務めでもあると思うが、豊富な体験・経験が、その子の思考を育む種になることは言うまでもない。
一方、私が生徒に伝えたいことは、今自分がしたいことがあるのなら、「親の目を盗んででもやっておけ」ということだ。犯罪など人の道に外れることは駄目だが、そうでない限り、自分がしたいことは親の目から隠れてでも、それを貫くべきだと思う。また、それくらいの心意気が無いと、大人になって「モノにならない」気がする。「大勢の中の一人」という生き方も悪くはないかもしれないが、せっかく生まれてきたのだから、自分にしか出来ない仕事、自分に本当の意味でフィットする仕事というものに出会ってもらいたいと心から思う。
NHKで「仕事ハッケン伝」という番組がある。俳優やタレントが、とある職場に1週間身を置き、スタッフとして従事する企画なのだが、これは是非見て欲しい。どの職種、どの仕事にもプロフェッショナルの世界があり、極める奥が深いということである。学校選びや仕事選びは、つい表面的な印象で捉えてしまいがちだ。しかし、実際にはどの仕事にも夢があり、極める奥行きがあるのだ。
表向きの看板に惑わされずに、自分の人生の軸となる仕事を発見し、その仕事イコールその人の人生となるような生き方と出会える様、一人ひとりの生徒に成長して欲しいと願っている。