進学校化とその影

池袋にある豊島学院から新年度のパンフレットが届いた。昭和鉄道高校と併設されているこの学校は、近年大学進学の伸びが著しい。平成19年卒では国公立0名、早慶上理・GMARCH14名、日東駒専・武・獨・國・明学・成・成63名であったのが、今春の平成24年卒では順に12名、62名、114名と激増している。経年グラフは見事に右肩上がりを示している。

豊島学院に限らず、進学校化のための学校改革は多くの学校で行われている。先般本欄で紹介した安田学園。女子校から共学化したかえつ有明、実業科を廃止した関東第一も同様である。近隣では東京学館船橋も徐々に実業科から進学のための普通科に募集をシフトしつつあり、この流れは公立中高一貫、および私立においては大きなうねりとなっている。

ただ、私が危惧するのは、この進学校化一辺倒の情勢にあって、学校の多様性が失われつつあるということである。「大学への現役合格率、および合格者数」をどこの学校も看板に掲げるようになり、悪い表現だが『○鹿のひとつ覚え』と感じられてならない。

そうでもしないと、少子化の中で学校が生き残れないという現実もある。しかし、この流れで学力不振の生徒、または勉強に向いていない生徒を受け入れる学校も減りつつあり、様々なタイプの生徒を受け入れる「優しさ」が各学校から失われつつあるように思う。多様化と間逆の動きと言える。

進学校を目指して授業レベルを高度化させるため、新規採用される教員の出身校も、東大などのエリート校卒で固められつつある。これにも私は『硬直化』を感じる。

また、大学合格という指標は分かりやすいが、ではその大学の質自体はどうなのだ?という疑問もある。ユニクロは昨年から大学1,2年生を採用し始め、大学卒業後に入社させるという。ユニクロは大学そのものにはほとんど価値を見ていないのではないか?

なかなか一刀両断できる話題ではないが、私は各校の学校改革を冷静に見つめねばならないと考えている。その点で、本日紹介した聖徳女子の「改革」のスタンスには大いに共鳴するものを感じている。