昨今の状況

現在、ほぼ連日面談を実施している。
先週土曜日の面談は22:25に始めて、気づいたら3:15だった。5時間も経っていた訳で、いやはや、親御さんも私もよくやるなと我ながら思った。

しかし、面談とは戦略会議のようなものなので、意欲ある企業であれば徹夜会議なんてザラなのである。私は生徒自身のためになるのであれば、万難を排して注力したいと思うのである。

さて、今年の面談ではどのご家庭でも「親が子供を理解出来ない」という点がキーワードだと感じた。つまり「新人類出現」のような感覚でもあり、我が子ながら、子供のタイプが変わってきたと概ね言わざるを得ない状況のようである。

昨今の生徒の様子はこうだ。以下5点に集約出来ると思う。
「指示されたことしか動けない」
「すぐにあきらめる」
「漠(ばく)とした強迫観念がない」
「外の世界に関心が無い」
「根本的なモチベーションに欠けている」

(1)指示されたことしか動けない
何をいつ、どのようにして、どうする。という細かい指示を下さないと自分から動かない。指示を超える事柄になると、手をつけない。手をつけなければならないという積極性、気づかいも見られない。「分かりませんでした」で済むと考えているらしい。

例えば、資料集の「研究と完成」を調べながら問題を解いていきなさい、と指示をすると、生徒は「研究と完成」しか使わない。調べた事柄が「研究と完成」に掲載されていないと、そこであきらめる。学校の資料集を使うとか、地図帳を見てみる、とか一歩踏み込んだ作業が自発的に出来ない。

今年英語でよく見られるのが、長文を和訳しないパターン。長文問題取り掛かりの当初、「全文和訳しましょう」と連絡ファイルに書くと、それなりに作業してくるのだが、指示を書かないと一切しなくなる。やがて、アルファベットの字面だけ眺めて、記号問題だけ適当に答案に書き込んで「宿題をやってきました」と持ってくる。詳細な精度を要する文法問題はともかく、和訳をし、その文章が何を言っているのか文脈をつかみさえすれば解ける問題を見事に外している。ただの「手抜き」だから、私は腹が立って仕方がない。

先天的に読解の不得手な生徒ならばともかく、それなりの地頭を持った生徒がこれをすることは本当に許せない。

(2)すぐにあきらめる
「○○高校が無理だから△△高校でいいや」とあきらめてしまう。もう少しの努力、あと少し頑張れば、というところにいても、「踏ん張って少しでも頑張ってみよう」という気にならず、その前にシャッターを下ろしてしまう。問題を解く時も、ちょっと考えるまでもなく、「あ、駄目だ」と思ったらそこから逃げてしまう。踏ん張ることが出来ないということと、頑張るという感覚が存在していない。

(3)漠(ばく)とした強迫観念がない
少なくとも私の世代は持っていた「ある程度の学力がなければ、今後マズイことになる」「この辺のレベルの学校に行くと、将来大変なことになるから、そうならないように頑張らないと」という、恐怖の相手が具体的に何であるのかが分からなくても、漠然と「こうなってはいけない」「やらないといけない」という良い意味での強迫観念があったのだが、今は無くなってしまった。

結局のところ、食べるものはあり、寝るところもある。衣食住に困ることがないから、根本的に危機感がない。当然、上昇志向もなく、「まあ何とかなるんじゃない?」と下流の宴(うたげ)状態。

これは、「汗水たらして仕事するよりも、国から生活保護受ければ仕事しなくても食べて生きていけるんでしょ」的な論理と同じと思う。

例えば宿題を期限までに消化させるということも本当に出来ていないし、「終わりませんでした」と言えば平気で済むと思っている。

(4)外の世界に関心が無い
これまでの価値観でいえば、テレビを見たり、ラジオを聞いたり、普通に生活していれば「これぐらい知っているよね」ということを知らないことが多い。

また、外の世界に対する関心も薄く、自分の行動半径2~3m以内の出来事には関心を持っても、それを超えるもの、外界の刺激に好奇心を揺さぶられない。自分は自分、他者は他者で、いわゆる「無関心」というもの。

(5)根本的なモチベーションに欠けている
結局のところ、人間の根本的なもの「衣食住」が満たされており、欲しいものも手に入りやすい。また、それが手に入らなくても他のもので代替できてそれなりに満足出来るから、「頑張る」必要がない。

経済成長が落ち着き、生活全般あらゆるものが、自分ではなく他者によって「用意される」ことが当たり前だから、自分が何をしなくても生きていけるし、別に不満が無い。自分で考えることが必要の無い社会なのだ。

根本的なモチベーションに欠けているから、よほど自分の方向性を抱えている生徒で無い限り、無気力となる。大人に言われるがままに「形だけ」やっておけばよいか、まあそれでいいんじゃない?といった具合だろう。

少し話はずれるが、
「5科目の順位が低い生徒がいた。塾に入り、一科目をピンポイントで攻めて、順位が急上昇した。そこで自信を取り戻し、次回の試験から他の教科に波及していった。」

これが近年成り立たなくなってきた。ひとつ上がったら「よし、他も頑張ろう」というのではなく、「それはそれ」で、他の科目のモチベーションにつながらない。当然、その科目自身も当初の勢いから失速し、低下していく。

以上が5点の詳細である。

この記事を書いた人

kamiojuku