関西大倉中学校・高校(茨木市)

【創立者・大倉喜八郎について】
◎関西商工学校=明治35年(1902)創立
◎大阪大倉商業学校=明治40年(1907)創立

この2校が合併して、昭和23年(1948)に関西大倉高校が誕生した。
大倉といえばホテルオークラが有名だが、大倉財閥について見てみよう。

※戦前の十大財閥(Wikipedia)
 三菱財閥(創業者: 岩崎弥太郎)
 住友財閥(創業者: 住友政友)
 三井財閥(創業者: 三井高利)
 鮎川財閥(創業者: 鮎川義介)
 浅野財閥(創業者: 浅野総一郎)
 古河財閥(創業者: 古河市兵衛)
 安田財閥(創業者: 安田善次郎)
 大倉財閥(創業者: 大倉喜八郎)
 中島財閥(創業者: 中島知久平)
 野村財閥(創業者: 野村徳七)

財閥は第二次世界大戦後にGHQによって解体されたが、現在でも都市銀行や大手不動産など旧財閥の名を冠する企業は多い。その中のひとつが「大倉財閥」である。

大倉財閥の創業者・大倉喜八郎は天保8年(1837)、現在の新潟県新発田市で生まれた。私は一昨年、新発田藩主の屋敷跡「清水園」を訪れて、園内の郷土資料館で郷土の名士・大倉喜八郎に関する資料を見てきた。

明治維新後、日本資本主義の父と称される渋沢栄一(天保11年生)と並び、大倉喜八郎(天保8年生)も実業家として数多くの企業設立に携わった。大成建設、サッポロビール、帝国ホテル、日清オイリオ、あいおいニッセイ同和損保、リーガルコーポレーションは現存する企業の一部である。ホテルオークラは喜八郎の子、大倉喜七郎が設立した。

【充実のスクールバス】
創立後しばらくは現在の大阪市北区、堂島または中之島あたりに校舎を置いていたが、昭和38年(1963)に現キャンパスの茨木市室山に移転した。昭和45年(1970)に千里丘陵で大阪万博が開催されたが、当時としては「先見の明」の移転だったのかもしれない。

そんなわけで本校は駅からはかなり不便な丘陵地にある。

<スクールバス5路線>
◎石橋阪大前駅(25分)
◎千里中央駅(20分)
◎北千里駅(20分)
◎JR茨木駅(20分)
◎阪急茨木市駅(25分)

西から東から、本校に向かって専用スクールバスが5路線運行されている。(カッコ)は乗車時間の目安だが、本校入口付近に阪急バスの専用詰所が設けられているくらい頻繁にバスが発着しており、意外に駅からの不便は感じない。

この日、私は阪急茨木市駅の北口ロータリーから乗車したが、車体は古いが大型バスで移動そのものは快適であった。乗車時間30分、車窓の田園風景を眺めながら、プチ旅行の気分。

さて、ちょっとした登山道のような坂道をのぼると、路線ごとに5つの停留所と10台近くの待機バスが常時ズラリと並ぶ巨大な本校専用バスロータリーに到着する。バスを降りて、丘陵の階段を少し登ると大学のキャンパスのように校舎が6つに分かれている。うち高校教室棟と中央共用棟は今年1月に完成し、8月に外構工事を終えて120周年記念のリニューアル工事は完了する。

【国語力はすべての教科の土台】
「国語が滅ぶと国が滅ぶ」と古川校長。国語は「読書家の時間」と「作家の時間」の二本柱で「読むこと」「書くこと」に力を入れ、そこに探究・調べ学習・まとめる練習・発表を包含する。

【徳育を土台としたカリキュラム】
本校は特定の名物プログラムに比重を置くのではなく、「弁論大会」「GCP(ネイティブスピーカーとのコミュニケーション)」「プログラミング」「朝読書」「米作り体験」「介護体験」「科学実験」「演奏体験」といった、振れ幅のあるさまざまな取り組みを体験させ、生徒のバランス感覚を養っている。

【本人の意に沿わない大学受験はさせない】
2022年春で卒業生446名のうち、国公立大の合格者は115名(実人数)。関関同立の合格者は286名(延べ)。卒業生の87%が現役で大学合格しているが、本人の意に沿わない無理な大学受験はさせない方針。「無理な」大学受験をさせていたら合格率95%は超えるが、「本校はそういうスタンスは取らない」と進路指導部・向井先生の極めて真っ当なお話。

国公立大の合格者のうち67%がクラブ活動を行っており、コースによる部活動制限は本校では行わないとのこと。「高校生らしい高校生活を送ることを本校の一番の価値としている」と、こちらも極めて真っ当なお話。

【幅広い指定校推薦】
関関同立・GMARCH(学習院・明治・青山・立教・中央・法政)でも62名枠、総数で550名程度の指定校推薦がある。大学一般受験も含めて「なりたい自分になるための幅広い選択肢を用意している」とのこと。

【コース編成】
中1・2は同一コース。中3から「Sクラス」「六年一貫」の2コースに分かれる。
高入生は「総合」「特進」「特進S」の3コースになるが、高2までは中入生と高入生は合流させない。高3で中入生の一部が高入生のクラスに若干名移動する程度。

【選べる制服】
阪急茨木市駅でスクールバスから降りてきた生徒がみな異なる制服を着ていたので他校か?と思ったが、そうではなかった。2021年より制服がリニューアルされ、男女ともにさまざまなパターンで制服を選べるようになった。

私服は自由な反面、人目もあって何かと気を遣うが、この「選べる制服」は6年間の衣服代を考えても大変良心的である。

【中学入試】
大学付属との併願者が多く、2022年春で関大第一20、関大中等部9、立命館6など、特に関大第一の併願が目立つ。

【高校入試】
2020年度、2021年度と定員315名に対して1700名前後の志願が続いたが、教室が不足したため2022年度は難度を上げた。春日丘、豊中、茨木といった府立高校の併願が多いが、戻り率は25%程度で上々。

英検の優遇については、府立高校の文理学科志望者が英検の上位級の早期取得を進める傾向にあり、この2年間でも大きな変化が見られる。

◎2020年→英検優遇希望者のうち54%(306名)が準2級、45%(259名)が2級
◎2022年→英検優遇希望者のうち30%(221名)が準2級、67%(493名)が2級

本校の高校入試では英検2級取得で本試験の80%、準2級取得で本試験の65%相当に得点換算し、本試験と比べて得点の高い方を合否の審査に用いる。ただし、資格取得者の割に本試験の点数が伸び悩むなど、取得級と入試力のギャップが大きいケースも少なからず見られ、制度的に問題があると入試広報の松村先生。

【図書館ブックストリート】
校内見学をさせていただいた。校内にいると、遠景に千里中央の高層ビルが見えることもあって、丘陵地にいるのを忘れてしまう。

図書館は「ブックストリート」として中央に書棚、その両側に生徒の閲覧・自習スペースと図書館に付随した2つの教室が並ぶ。ちょうど期末テスト期間中ということもあったが、どの生徒たちも私たち見学者の姿に気を散らすこともなく、素朴によく勉強していたのが好感。

案内して下さった先生がまた「のびのび」お話しされていたのが印象的で、先生方にサラリーマン感がなく、どの先生も考えながら主体的に仕事に向き合っておられる印象。

【真っ当な学校】
帰りがけ、中央共用棟から外に出ようとしたら古川英明校長がおられたので、本日の感激を思わずお伝えしてしまった。

「今の時代、他校ではなかなか見られない真っ当な学校です!!」

よく考えてみれば、塾関係者ごときが失礼な発言だったと思って、塾に戻って2階の「ちょろ」でラーメンを食べながら反省してしまったのだが

この日の説明会に立たれた先生方の、お一人お一人から出てくる言葉が本当に「真っ当」なの。口先だけで正論を語るのではなく、本当に生徒のことを主体に考えたらそういう判断になるよねという、生徒に通わせたい学校ってこういう学校だよな、としみじみ好印象を抱いてしまった。

説明会での古川校長のお話しも間の取り方が大変上手く、聴衆に「考えさせる」話の出来るレアな技術をお持ちの先生であった。現在、国際化・自由化から一挙にグレートリセットへ向かおうとしている世界の中の日本で、あえて母国語教育に力を入れようとしているスタンスも私個人としては大いに共感する。

さて、本校の前身である関西商工学校の卒業生にパナソニックの創業者、松下幸之助翁がおられる。そのお付き合いから現在でも本校の電気工事はパナソニックに依頼しているという。

本校はプロモーションとしての派手さは無いが、さりげなく「一流」を感じさせる学校である。それはまさに大倉財閥の流れを汲んでいるからかもしれない。

(2022年7月6日訪問)

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