■概要
阪急京都線の上新庄駅南口から徒歩5分。東海道新幹線の高架下を抜けると「関西大学北陽」の看板が見えてくる。
本校は大正14年(1925)に関西大学第11代学長の子、山岡倭により北陽商業学校として設立。長らく男子校であったが、経営の安定を願った本校と併設高校を増やしたい関西大学で思惑が一致し、平成20年(2008)に関西大学と法人合併。関西大学北陽高校として共学化を開始した。平成22年(2010)には中学校を設置している。
スポーツの名門校ということで、数多くの社会人スポーツ選手を輩出しており、古くは元阪神タイガース監督の岡田彰布、格闘家の前田日明も本校の出身である。更に、文化人としては芥川賞作家でお笑い芸人の又吉直樹、落語家の月亭八光も本校出身。
■部活動
サッカー部は全国大会35回出場、硬式野球部は甲子園14回出場、水泳部もインターハイ33年連続出場。男子バスケ・陸上競技・柔道・創作ダンスなどの各部も全国レベル。文化系クラブも、ジャズバンド・フォークソング・釣り・料理・歴史研究など多彩である。
■関西大学への進学
2020年度では卒業生数338名(特進・文理)+74名(スポーツ)のうち260名が関西大学に進学。卒業生数に対する関大進学者の割合は63%になる。本校の説明会では、関大への内部進学率が80%を超える数字を示されるが、これは「内部進学”希望者”に対する実進学者」の割合なので、要注意。
尚、関大へ進学を希望しても進学できない生徒については、基礎学力の不足が原因とのことである。
■男女比
約10年前まで男子校であった本校生徒の女子率は例年35%程度の推移であるが、2020年度の中1は女子率41%となった。
■中学入試
入試は以下の3回に分かれる。
◎初日午前の「1次入試」
◎初日17時からの「2次A入試」
◎翌日18時からの「2次B入試」
2020年春の受験者数は「1次」88名、「2次A」473名、「2次B」294名で、
「2次A・B」は夕方以降の実施であることから、本校は第一志望よりも併願校としての受験者の方が圧倒的に多い。
午前中に本命校を受験してきた受験生を、夕方に本校ですくい取っていく入試形態。
その夕方入試「2次A」の併願者は関大一中40%、同志社香里11%、関大中等部8%、他同志社系5%、関学系4%、立命館系4%、近大付属2%で、本校はとにかく<大学付属>に行きたい希望者の受け皿になっていると言える。
五ツ木・駸々堂の偏差値を見ても、「1次」合格者のボーダーSS46、「2次A・B」合格者のボーダーSS53と差が大きい。
■まとめ
関西大学との中大連携、高大連携プログラムを活発化させており、充実した6年間または3年間を過ごせることだろう。説明会の方は、途中の休憩時間を挟んだ中高別の時間枠でそれぞれ同一内容の校長スピーチなどが入り、冗長的な印象も否めかなった。資料収納のために配布された布バッグも、立派だが重くて使い勝手が悪く、そういったセンスの問題が先述の「受け皿校」らしい部分なのかもしれない。
しかし、説明会終了後に大勢の塾関係者が個別相談ブースに並んだり、学校案内パンフレットを塾生向けに大量に持ち帰ろうとする大手塾関係者を見ると、その熱気は例えば早稲田摂陵のそれとは全く異なるものがあり、関大という地元の歴史ある大学に直結している実感とでも言うのだろうか、そういう意味で本校は「人気校」と言って間違いではないだろう。
(10月6日訪問)