関西創価中学校・高校(交野市)

【アクセス】
京橋からJR学研都市線の快速で21分、河内磐船(いわふね)で下車する。新興住宅地のなかにポッと水田が現れるような、田園風景の残る長閑(のどか)な地域だ。

河内磐船駅の改札口は駅の南側にあって、そこから本校の正門まで1.5kmある。1.5kmということは徒歩20分。気温35度で徒歩はさすがに厳しく、駅前からTimesのカーシェアに乗り込む。

走行中、本校へ徒歩で向かう塾関係の猛者を数名見つけたが、万が一事故を起こした時に責任を取れないので声を掛けずにそのまま進んだ。

さて、正門の真正面にある駐車場に車を置いて、正門からなだらかな坂をのぼる。噴水を横目に10万冊の蔵書を誇る万葉図書館へ。

【歴史】
昭和43年(1968)に創立されたのが東京都小平市にある創価中学校・高校(学校法人創価学園が運営)で、それから5年後の昭和48年(1973)に開校したのが本校の前身にあたる創価女子中学校・高校。昭和57年(1982)に共学化されると同時に関西創価中学校・高校に改称、同時に関西創価小学校が開校した(学校法人関西創価学園が運営)。

【中学校の取り組み】
「中学生は未完の大器」(古賀中学校長)ということで、三大行事「栄光の日」「情熱の日」「英知の日」を中心として、その未完の大器を育てる多彩な行事を用意している。ビブリオバトル(読書教育)や、参加費用が全額学校から補助されるアメリカ創価大学研修(抽選)はそのひとつ。クラブの加入率は95%。中学卒業までの英検取得率は3級が9割、準2級が4割。

【中学入試】
過去問から7割以上の得点率が確実合格の目安。合格最低点で見れば得点率は5割弱。

【高校の取り組み】
平成27年(2015)から1期5年間、文部科学省のSGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定。現在はSGHの取り組みを引き続き実施する「SGHネットワーク」に参加。アメリカのユネスコスクールとの交流、また本校独自の「GRIT(地球的課題の調査と探求の時間)」の仕上げとして高校3年生は全員で模擬国連を開催。

模擬国連ではSDGsにつながる「飢餓」「食料流通」「安全な飲料水へのアクセス」「公平な教育環境」といったテーマを生徒全員で議論する。

【高校入試】
110名の一般入試枠とは別に、30名の地域限定推薦入試が設けられている。近畿地方以外の在住者向けの入試で、遠方から入学する生徒は学園専用の寮(男子110名定員の金星寮、女子88名定員の桜寮・白鳥寮・白ゆり寮)に入居できる。

【今春の進路】
高校1学年の定員250名(内進110+高入140)として、
◎創価大学(推薦進学)182名
◎創価女子短期大学(推薦進学)7名
つまり、卒業生のうち75.6%が創価系大学に進んでいる。キャンパスはいずれも東京都八王子市。

残りの約25%の延べ人数(既卒者含む)は以下の通り。
◎海外大学(アメリカ創価大学を含む)17名
◎国公立大 21名
◎私立大 132名

【受験者数が年々減っている】
「倍率が底に来ているので、これからはV字回復を果たしたい」と高校副校長の流田先生。

◎中学入試のデータ(募集110名に対して)
2018年度 受験312名 入学114名
2019年度 受験298名 入学111名
2020年度 受験231名 入学118名
2021年度 受験220名 入学116名
2022年度 受験172名 入学110名

◎高校入試のデータ(募集140名に対して)
2015年度 受験369名 入学147名
2016年度 受験358名 入学143名
2017年度 受験329名 入学141名
2018年度 受験296名 入学146名
2019年度 受験253名 入学146名
2020年度 受験236名 入学145名
2021年度 受験162名 入学137名
2022年度 受験160名 入学133名

概ね6年間で受験者数が半減する状況で、そこから出てきた重大な危機感が先の流田先生の発言に繋がっている。高校入試において年明けの進路相談(関西創価高校の先生と公立中学校の先生が出願予定者の成績について意見交換する場)も近年になってから行うようになった。反対に言えば、そういうことは以前は行わなかった<強い集客力のある>学校だったのだ。

恐らく、塾関係者向けの説明会もしてこなかった(そういうことをしなくても生徒が集まっていた)タイプの学校。

何が原因なのかを私なりに考えてみると、一つは交通の問題。真夏・真冬の学校へのアクセスが生徒にとっては若干しんどいかな、という所。もう一つはこの日の説明会がそうだったが、年齢の高い上層部の先生方が演台に立たれたり、ご高齢の先生が入口で下足番をされていたりと、若手の先生にのびのび任せるような場が少ない、硬直した(?)組織が今の時代に合わなくなってきているのかなとか、更には宗派に関わらず宗教冬の時代にあって、その辺の動員力の低下も原因に加わっているのかな、とかナントカ。

上記の分析は全て私の憶測に過ぎず、事実誤認があったとしたらご容赦願いたい。そんなことを色々考えながら警備員さんに挨拶しつつ正門を出て、車に乗り込んだ。

(2022年7月1日訪問)