【アクセス】
阪急京都線を淡路から河原町へ向かう準急に乗って28分、西山天王山で下車。西山天王山駅は平成25年(2013)に開業した新しい駅で、京都縦貫自動車道の高架下にある。そこから「調子八角」交差点に出て、情緒ある西国街道(旧道)をしばらく進むと、徒歩8分で正門に到着する。
生徒の交通利用の割合は、阪急の西山天王山が全体の3分の2で、残り3分の1がJR京都線の長岡京駅または京阪の淀駅。
【施設】
京都市伏見区にあった深草キャンパスから平成26年(2014)に新築移転した長岡京キャンパス。大阪ドームがひとつ入ってしまう39,000平米の広大な敷地に、アトリウム棟とそれを囲む6つのユニットで構成される教室棟、屋内プールを含む体育館棟、第1から第3まで3つのグランド(陸上系・野球系・ホッケー系)、体験学習棟(宿泊棟)がある。充実したスポーツ設備は本校の特徴である。
【4・4・4制】
立命館小学校(京都市北区)から始まる4・4・4制とは、以下の位置づけ。
◎小学1年~4年・・・ファーストステージ
◎小学5年~中学2年・・・セカンドステージ
◎中学3年~高校3年・・・サードステージ
サードステージの職員室は大型でワンフロアに集約されているが、セカンドステージの職員室は小型で教室の付近に分散配置することで生徒へ目が届きやすい設計になっている。
【ちょっとややこしいコース編成】
<中1・中2>
◎CLコース(Creative Learning=立命館大への進学、150名)
◎ALコース(Advanced Learning=他大への進学、90名)
※上記の合計240名のうち、立命館小学校からの内部進学は120名。
※中学受験と内部進学の比率は、CL=受験60名+内進90名、AL=受験60名+内進30名)
<中3・高1>
◎コアコース(文理総合、200名)
◎コアコース/GJクラス(文理総合と同カリキュラムで国際系に力を入れる、80名)
◎MSコース(メディカルサイエンス=医歯薬系+難関他大、70名)
※上記の合計350名のうち、立命館中学校からの内部進学は220名。したがって、高校受験の実質的な外部募集は130名となる。
<高2・高3>
◎CEコース(文社系)
◎GLコース(文社系・国際)
◎SSコース(理数系)
◎SSコース/SSGクラス(理数系・国際)
◎MSコース(文理特進)
※MSコースが医歯薬系大・難関国公立大・難関私大、その他のコースは立命館大、立命館アジア太平洋大(APU)に進む。
【進路】
<2021年度の卒業生360名の大学合格者数>
◎国公立大38名
◎私立大166名
◎立命館大(内部推薦)274名
◎立命館アジア太平洋大(内部推薦)3名
内部推薦の人数はほぼ実人数で、国公立大・私立大は延べ人数と見れば良いだろう。卒業生の75%が立命館、残りの25%が他大に進むことになる。尚、MSコースも高3の12月中旬までに推薦合否の分かる大学であれば、立命館大学を併願できる。
内部推薦の場合、希望者の9割以上が第1希望の学科に進学しており、大学進学後のミスマッチも起こりづらい。
【SSH/SGH】
SSH事業の初年度であった2002年から現在まで文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定。2014年はSGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定された。現在はSGHネットワーク参加校に認定されている。
【サタデーボックス】
基幹授業は平日の週5日で行い、土曜はほぼ隔週で登校して「サタデーボックス」が開講される。これは教員が「やってみたい!」任意の講座をひらくことで「エレキギターを弾こう」「泥団子研究所」「西村京太郎を読む」といった、教科の枠にとらわれず自由でわくわくする取り組みで生徒の知的好奇心を喚起する。
【海外交流】
海外研修の派遣、または海外生の受け入れを活発に行っており、現在でも常時15~20名の生徒が海外で研修中。コロナ前の2019年では海外研修派遣数が697名、海外生受入数が354名。
【サイエンス教育】
理科室が10室ある。日本学生科学賞、日本化学グランプリ賞など毎年何かしらの受賞歴。SSHに5期連続(21年目)で指定されているのは本校を含めて国内で2校しかない。
【自主自立の心を鍛える】
コロナ禍でも文化祭、体育祭をはじめ各学年の宿泊行事は全て実施した。各種行事は生徒が主体となって議論し、教員団と交渉して実現する。2016年度の修学旅行に南大東島、2017年度に無人島、といったラインナップも興味深い。
【部活動】
中学校の加入率は90%、高校の加入率は70%。強化指定が無いため、生徒は勉強と両立させながら部活動に参加できる。
【制服】
中学生は制服、高校生は私服。
【ランチタイム】
中学生は弁当が基本だが、用意できない者はカフェテリアの利用が可能。カフェテリアには大学の生協が入っており、メニューも豊富。220席しかないので昼食時はすぐに座席が埋まってしまうらしい。
【校内見学】
「勉強だけでない6年間、青春のある6年間」
神戸大学の医学部に進学された卒業生のスピーチでの言葉だが、本校はこの言葉に凝縮されている。他校の進学校では得られない”青春”が立命館にはある、と。冒頭にも書いたがキャンパスはスポーツ設備が充実しており、文武両道で勉強もするが運動もしたい生徒にとっては最高の環境。
温水プールは25mが8レーンあって、水泳部は80名から90名が常時在籍する人気のクラブ。水泳の授業のない12月から3月まではプールの水抜きをするため部活動は校外の施設を利用するそうだ。
校内の至る所に作文や美術作品、書道部の作品が展示しており、案内してくださった先生によると「学校を元気にするため」とおっしゃっていたが、本当に勉強だけではない、芸術にもスポーツにも触れて青春を満喫する学校と言えそうだ。
体験学習棟には旧深草キャンパスから移設してきた天文台があり、その下のフロアは来日した留学生が寝泊まりできる設備になっている。
自然光が差し込むアトリウム棟や体育館棟の床はやわらかいラバーが張られており、フワフワした歩行感が心地よい。体育館棟の屋上には軟式テニスコートが3面。ボールが軽いため、強風が吹くと制球できないのが難点だそうだ。お笑い芸人のサバンナが二人とも本校の中学・高校の卒業生で、在校時は柔道部に所属していたという。現在は廃部になったが、「八木君も高橋君も残念がっていました」と案内の先生。
さて、各教室を回ると、やはり生徒たちは集中して勉強している。私たち見学者が廊下を歩くのをいちいち気にする生徒がどれくらい居るかどうかで生徒の集中度合いを測ることができるが、本校では廊下を気にする生徒はほとんど皆無であった。
【入試】
高校は推薦入試があるが、基本的にほぼオール5が必要。資格に満たないものは出願できない。中学入試では優遇入試があり、通知表の評定が目安として「9教科を合計して満点のうちの9割」または「英検3級取得で8割強」が条件となる。条件をクリアすれば、学科試験+面接+活動歴申告書による総合判定に移るが、推薦ではないため不合格も有り得る。
(2022年6月28日訪問)
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