生徒を馬鹿にしない

大学生のアルバイト講師であったり、間違った方向で指導年数を重ねてベテラン講師化してしまうと、「こんな問題も分からないの~?」と生徒を小馬鹿にする傾向が出てくる。この塾通信はアーカイブの方で教育関係に従事している人も読んでいるので本テーマについて書いてみるが、正しくプロ指導者になるということの鉄則の一つは、絶対に生徒を馬鹿にしない(表情に出してもいけないし、心で思ってもいけない)ことである。

私の場合も「え、何でこれ知らないの?」「これ出来なかったら来年高校受験じゃなくて、鎌ケ谷小学校受験だよ」とか生徒に言う時があるが、これは生徒に発破を掛けるための方便である。そういうことではなく、指導者側の心理として、心の底から侮蔑的な心情をもって生徒を見てしまうことが起こり得るということで、指導をする立場を続けていると、どうしても上から目線になってしまい、自分以外の者が下位に思えてしまうことがあるのだ。(※私が、ではない)

学校の先生も同様である。定年退職された先生の中には、どうしても言葉の端々に、上から下へ言い含めるような物言いになってしまったり、相手が大人であっても子供に対するような態度に出てしまう人がいる。

で、最近私が思うには、指導者として対価をもらって生きている人間であっても、自分が別の分野で教わる立場であったり、教育とは無縁の世界であったり、どこか異なる視点をひとつ持ち続けていないと、この教育の仕事に携わるのは非常に危険ではないかという点。つい俺様、先生様になってしまって、先生先生と呼ばれているうちに、自分が全知全能のような錯覚を覚えてしまう。

この平成30年度から千葉県立の我孫子高校で「教員基礎コース」が設置されるが、あまり純粋培養で始めから「先生」を目指してしまうのも、上記の意味において怖いな、と私は思ってしまうのである。「先生」になるのは、もう少し人生経験を遠回りしてからでよいのではないか。

私自身のことでいえば、生徒と接する際は「視線を対等に」「誠実に」向き合うことを常に心がけるようにしている。当然、そういった姿勢は生徒自身も何となく感じ取るものであろうから。