勉強から逃げた人

学生時代に勉強が苦手であったために、「手に職を」の方向で専門の技能を身につけて社会人になる人は多い。もちろんその中にも立派な人もたくさんいるのだが、一方で「勉強から逃げて手に職を」の方向で進んできた人もいる。

そのタイプの人と業務上の連絡(※塾に関する話ではない)をやり取りする時に感じるのが、まさに「チーズケーキの他のケーキをください」といった、読み手の想像力に無意識のうちに依存してしまうアバウトな物言いが見受けられるということだ。

明確にことばを表現するということは、明確な思考が必要であるので、このタイプの人は技能面での仕事は出来るとしても、その他の場面でいまいち緩い(甘い)面があったりする。

そう考えた時に、今現在ちょうど中学2年生は数学で「三角形の合同の証明」を扱っているのだが、
これは思考訓練にもってこいの学習単元である。「3組の辺がそれぞれ等しいから、AとBの三角形は合同」のように合同条件を用いながら、仮定を結論に導く骨の折れる作業であるが、この単元にはドラえもんのどこでもドアのように突飛な論理が介在しない。AだからB、BだからC、CだからD、だからAはDになる、と一つひとつの段階を丁寧に明確に言葉で説明していくという、大変重要な思考訓練になっていることが分かる。

神尾塾ではあくまで生徒の学力段階によって、どこまで証明問題を掘り下げて学習させるか、といった内容は個々に切り替えているけれども、学生時代に「勉強」として学んでいることは社会人に求められるスキルの土台が豊富に含まれていることが分かる。