先に解答を渡す指導法

あくまで生徒によるのだが、教材に解答冊子をつけて先に渡してしまう指導法がある。そして毎回の授業で確認テストの範囲を定めて、練習の仕方と、その単元に関する質問を受け付ける。特に障害がなければ次回の授業でその単元を確認テストする。

ちなみに練習方法はいつも塾通信で伝えている内容の通りで、

「まずノートに問題を解く」「分からない所は辞書・参考書で調べる(時間が無い時はこの過程は飛ばしても良い)」「手が止まりそうになったらすかさず赤ペンで丸付けをする」「解答・解説・参考書を確認しながら、青ペンで間違えた箇所の問題点、何がいけなかったのか、どのようにすれば良いのか改善点を記入する」「新しいノートのページを開いて2回目を解く(正解している問題も含めて全問解くのが好ましいが、時間の不足する時には間違えた番号を問題用紙に印をつけ、その箇所のみ解き直す)」

後は上記のローテーションの繰り返しである。これは漢字でも英単語でも計算でも、文章問題でも理科社会の用語問題でも全てに共通して使える最短距離の学習方法だ。で、分からない所でジッと固まって時間を無駄にするよりは、分からないならトットと答えを見てしまった方が余程効率が良いのは間違いない。

ただし、ここで残念な生徒は答えだけを丸暗記しようとする。選択式の記号問題があったら「ア→ウ→エ→イ」と解答だけを覚えようとする。そこで確認テストでは正解することになるので、表面的には勉強しているかのように見える。

これは本当に残念なのだが、しかしだ。答えを丸暗記してしまっても良いのだ。なぜならば、答えを丸暗記したところで、数日経つとどうせ忘れる。その忘れた頃に、また確認テストを抜き打ちですればよい。すると、ほぼ100%その生徒は正答が書けない。問題と解答の意味を理解するという大事なアプローチを放棄したままでいるからだ。

そこで確認テストのひどい点数を生徒に示して、「解答だけを覚えたって何の意味もないだろう?」ということを痛感させるのだ。(痛感しない鈍感な生徒も残念ながらいるが)

答えだけ覚えても意味が無いから、何故そうなったのか、ということを考えることが何よりも重要だということを生徒に伝える。先に解答を生徒に渡してしまうことのリスクが実はそんなに無いのはこういう理由があるからなのだ。もちろん、渡しっぱなしではなく渡した後の生徒の行動を指導者側が常に見抜いていることが大前提だが。