考えたんですけど、は考えていない

建築学科の学生だったころ、自分の設計した作品をプレゼンテーションする機会が毎週のようにあった。その中でプレゼンテーションの得意な学生は計画系(設計・デザイン)、そうでない学生は技術系(構造・材料・環境)へその後進むパターンがあったように思う。

前者と後者でどちらに優劣があるわけではないが、よく教授に怒られていた学生というのはプレゼンテーションの際に「えー、1週間ずっと考えてたんですけど、まだ形になっていなくて…」と手ぶらでやってきて発言するパターンであった。

そう。本人は考えていたつもりでも、誰もが分かるように形にまとめていなければ、何も考えていなかったのと同じなのである。

この話、塾でいえば「○○君は、理解はしているんですけど、テストで点が取れないんですよね」と面談で保護者に伝える先生がいたとする。いやいやいや、テストで点が取れないということは、理解していないのだ。「○○君、分かった?」「うん、分かった」そのやり取りだけで理解したと判断する先生がいたとしたら、相当問題がある。

これらを踏まえて、私の場合は随時確認テストを授業の中に忍ばせて(連絡ファイルに「CT」や「(再)」と書いているのがそれだ)、本当に解けるのか、本当に記憶しているのか、を嫌がらせなくらいに再三テストして定着を確かめるようにしている。実力を積み上げていくとは、そういうことだ。