証明問題を得意にする方法

数学で途中式を書くということは「論理」の基礎訓練になっており、「1+1だから2、2+1だから3、3+1だから4」のように、誰が聞いても「うん、そうだよね」と納得できる、筋道の作り方を学ぶ機会になる。

さて、その論理の訓練の山場を迎えるのが中学2年の「図形の証明問題」。それまでは数式を用いた論理の訓練だったのが、いきなり文章を用いた論理の訓練に置き換わる。勉強が苦手な生徒にとっては問題を見た瞬間から嫌悪感を持たせてしまうのも「証明問題」である。

中学2年で学ぶ証明問題は主に

◎三角形の合同を証明する
◎三角形の合同を用いて、対応する辺の長さが等しいことを証明する
◎二等辺三角形であることを証明する
◎直角三角形の合同を証明する
◎三角形の合同を用いて、平行四辺形であることを証明する

上記の5段階に分かれる。

証明問題が厄介なのは、教材や問題集、教える先生によって書き方が微妙に異なる点である。

「仮定より・・・」
「(仮定)」

という風に、意図するところは同じでも、書き方の細かなニュアンスが異なるだけで生徒はパニックを起こす。嫌悪感もますます強まる。

以上を踏まえて、
証明問題を本格的に着手させる生徒には、私は学校の授業よりも先手を打つようにしている。

つまり、

—(ここから)
三角形OABと三角形ODCにおいて

OA=OD(仮定)…①
OB=OC(仮定)…②
角AOB=角DOC(対頂角)…③

以上①から③より
2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので

三角形OAB≡三角形ODC
—(ここまで)

といった基本の「型」を徹底的に<自力で書けるように>させる

これは武道における「守・破・離」の「守」であり、基本の型を身につけることが証明問題においては何よりも重要だ。この「型」を身につければ、学校の先生や問題集が異なる表記をしても、例えば「徒歩で行く」と「歩いて行く」程度の言葉の誤差でしかないことが理解できるようになる。

最も悪手なのは、当初から穴埋め問題ばかりをさせることで、穴埋め問題では「型」が身につかない。「型」が身につかないと細かな表現の違いに気を取られてしまい、証明の流れの本質的な理解が困難になる。

「型」を身につけてしまえば、穴埋め問題でも、様々な演習問題や入試問題に接しても、証明問題がそう苦でなくなる。大事なことは、その「型」の習得に一定の時間と労力を<徹底的に>割り当てる必要があるということだ。