2021年度・中学教科書改訂<5教科>

11/12(木)EN「2021年教科書改訂・最新情報」。
講師は再びエデュケーショナルネットワーク(EN)教材編集長、上野伸二先生。

以下箇条書き。(私の誤認の部分があったとすればご容赦下さい)

◎2011-2012→前回の学習指導要領改訂(教科書が1.5倍に増えた)
◎2020-2021→今回の大幅な学習指導要領改訂

◎現中2が新学習指導要領の最前線(現中3以上は現行教科書のまま)
新高校課程(現中2が高校進学の段階で使用開始)も大幅に科目が再編される

◎現中3までが大学入試改革1段階目(現行の学習指導要領に基づく)
◎現中2からが本当の大学入試改革(新しい学習指導要領に基づく)
→2024年度が共通テスト・4技能・記述・個別試験など本格的な改革元年になる

◎通知表の評価方法が変わる(知識・技能への偏りから脱却)
◎認知的負荷の高い教科書への変化(情報、読解量の増加)
◎英語以外は現行のバージョンアップ、英語は激変(難化)

◎数学
日常生活と数学を結び付けた出題
中1で素因数分解、観察や試行によって得られる確率、中3で誤差・近似値
(階級・代表値は小6へ移行済み)
中1で累計度数、中2で四分位範囲・箱ひげ図(従来は高1)
従来の「確率」は中2のままで内容が重くなる
数学に理科・社会が盛り込まれる

◎理科
実験観察の目的・手順など、思考力系のプロセスを重視したつくり
会話文が多く、読解力が必要
知識事項の整理が容易でなくなる
大幅な再編・単元移動
ボルタ電池からダニエル電池へ
用語の変化(優性・劣性→顕性・潜性)

◎社会
資料の読み取りの強化
PL法・電子マネーなど消費者教育の視点が明確に
近現代重視傾向
SDGs
数学教科書との連動
英語入試問題文の素材が社会科に散りばめられている
社会と英語を分割することがナンセンスな時代に

◎国語
「情報の扱い方」が新設
語彙力の強化
高校新教科「論理国語」に通じる内容
根拠を示して説明するスキル(表現力)

◎英語
どのページも新出単語が多く、難しい(新中3は未習の単語・文法ばかりで授業が成立しない可能性)
SDGsを意識したリーディングが多く、高校レベル
文法練習時間の不足(分からない、分からない、のままで終わる可能性)

総じて言えることは、「情報社会」ということ。
上下左右さまざまな方向から入ってくる膨大な情報から自分にとって必要な部分を抽出して活用する力。それは不要・必要な情報を峻別する判断力も求められる。

私でさえ現在、様々な方面からの業務、押し寄せる情報の波にイライラすることが少なくないというのに、そんな波に小学生から投げ込んでしまって意味があるのか?と正直思う。ある程度の年齢になれば、人生経験と照らし合わせて情報の不要・必要も見えてくるものだが、そんなに器用な生徒ばかりではない。

成績上位3分の1の生徒にとっては価値ある変革だろうが、その他3分の2の生徒にとって、今回の改訂は「いい迷惑」でしかないはずだ。現在小学生に起きている混乱が、まもなく中学校にも広がる。もたらすものは、学力格差の拡大である。