リスティング広告を出す学校には注意せよ?

学校訪問をすると、私の備忘録としての目的もあって大体この塾通信で書き残すようにしている。入試内容や倍率といった外形的な情報はオフィシャルや五ツ木の資料など、どこでも入手できるので本欄では書かないようにしている。そういう表向きの情報ではなく、<私が実際にどう感じたか>という主観と皮膚感覚で得られた情報を文字に書き残すように心がけている。

関東で開塾していた時は千葉や東京の同じ学校を毎年訪問することで、校長先生の交代による校風の変化や、長年のその学校に流れる気質を見つめてきた。しかしその結果、毎年同じ学校を訪れているとその学校に対する感受性がマヒしてしまって、初めて訪れた時の所感の方が意外と的確にその学校の本質を把握していると思われることが多い。

なので、大阪に移転してからはとにかく新規の学校開拓を心掛け、同じ学校を訪問するのは数年おきにしようと心に決めている。

さて、学校訪問をしておきながら塾通信に取り上げない学校がある。正確に言うと本校開催ではなくホテルや商業施設の会議室といった外部会場で開催される説明会であるが、外部会場の開催でも先生方の雰囲気からその学校の性質を見抜くことは可能だ。

先日は某商業施設で説明会を開いた学校があった。会場が分かりづらい場所であったが誘導が無く、参加者は手探りでその会場を探す始末だ。会場に到着すると、いきなり先生方が大勢受付台周辺に集まって来場者を迎える。場内では前から順に着席位置を指定される(※学力の高い学校はどこでも自由に着席させる、そうでない学校は着席位置を指定してくるパターンが多い)。上席の教員が司会をしているが、AIが棒読みしているような、人間味を感じられない機械的な司会(上辺だけ立派さを装っている?)。

生徒のインタビュー映像を流すが、窓ガラスのカーテンが開いており光量が薄まって映像が見えにくい。映像が終わったところでカーテンを閉めてくる(ズレている?)。映像で出てくる生徒はその学校を学校名で呼ばず「この学校は」「この学校で」のように「この学校」としか呼ばない(愛校心の問題?)。本校はかつて不祥事を発生させているが、幹部職員が現在も当時のままであり、説明会で当時の総括はない。パンフレットにも創立からの略歴が記されていない。

「今」だけを見ると受験生の耳目を集めやすい名称のコースを設けているが、歴史的には学科・コースの新設・廃止を繰り返しており、<場当たり感>が否めない。これを書きながらもう一つ思い出したのは、説明会終了後のエレベーター。会議室を出たすぐ先にあるエレベーターを誘導する本校関係者は誰一人おらず、参加者がボタンを押して空きそうなエレベーターに右往左往するという、これも配慮不足(上手くいっている学校は関係者を必ず配置して、こういう所をきちんとフォローする)。

という風に、少なくとも私だったらこのオペレーションの学校に生徒を送り込むことは絶対に無いと断言したくなるものであった。「一事が万事」という言葉があるが、「神は細部(ディテール)に宿る」ものなので、オペレーションの断片を見れば、同じようなことが校内での生徒対応にも起きていると容易に推測できるのである。(※以上は私の主観に過ぎないので、別の塾関係者が見れば「この学校は良い」と評価する見方もあるのかもしれない)

もう一つのパターンとして、少なくとも私から見て「?」と疑問符が生じた学校は、往々にしてインターネット上でのリスティング広告(教育関連のキーワードで検索したときに自動で表示される広告)が出現する率が高い。

出現率が高いということは、Googleなどのリスティング広告にかなりの金額を投入しているということだ。それが悪いことではなく、今時リスティング広告を出稿している学校も少なくないが、長期的にうまく運営が回っている学校はリスティングの出現率も低く、反対に出現率が高い学校は<内部のオペレーション>よりも<外的に繕う広告宣伝費>に金を掛ける本末転倒を起こしていることが多く、本校はまさにそうなのだが、私から見て生徒に進学させたくない学校である確率は高い。