音のセンスと大阪

その日は谷町線で天王寺に向かって所用を終えて、御堂筋線でなんばへ。千日前線に乗り換えて西長堀。中央図書館で教科書展示会を見てから長堀鶴見緑地線に。長堀橋で堺筋線に乗り換えるはずが寝過ごしてしまい、そのまま京橋へ。戻るのも面白くないので、京阪電車に乗り換えて天満橋へ。そしてシティプラザのタリーズコーヒーに寄って塾へ戻る。

天王寺で打合せをした人物が平野の杭全神社近くの出身だということで、私が昨年瓜破霊園から平野郷を散策した話をした。

東京出身の人間にとっては、大阪といえば吉本の芸人のような、また髪の毛を紫に染めたおばちゃんが「あんた、何しとんねん」と通天閣の近くで恫喝してくるような、そういうギャーギャーしたイメージしかなかったのだが、実際に大阪に住んでみると、それらは表向きの大阪の一面に過ぎず、実際には平野郷の旧家が建ち並ぶような、谷町筋に寺院がこじんまりと凛々しく鎮まっているような、歴史的な情緒の街だということがよくわかった。

串カツが表向きだとすれば、じっくり時間を掛けて味を染み出していくダシの文化が真相だろう、と。

また、関西は音のセンスがとても良い。電車に限って言えば、30年近く使われているという大阪メトロの構内メロディ、JR西日本の電車接近音、京阪電車のサウンド。阪急梅田駅の発車音。首都圏もようやく鉄道駅の構内メロディが普及してきたが、耳になじむ独特の音のセンスは、関東よりも関西の方が遥かに先駆的でセンスが良い。

20年前、私が初めて旅行で大阪を訪れた際、長堀鶴見緑地線のメロディ(中川家がよくモノマネをしている)に感激して、住むのだったら長堀鶴見緑地線の沿線に住みたいと、何の気なしに感じていたことを思い出した。