数字のカラクリに注意

今年上半期の学校説明会は大半がオンラインでの開催となった。対面形式の説明会は本格的には9~10月に集中的に各校で実施されることになるだろう。

学校説明会はやはり実際にその学校に出向かないと<印象に残らない>ので、昔のおじいちゃんが食後に「晩ご飯は食べたかな」と言っている状態、「今朝のオンライン説明会はどの学校だったかな」といった状態が私の中でも起きている。オンライン説明会はあくまで緊急措置の位置づけでしかないだろう。

さて、対面の説明会では雰囲気に呑まれてしまっても、オンライン説明会の視聴では資料の細かな表現が目につくことがある。例えば英検の合格率。「本校は中3の段階で87%の生徒が英検準2級に合格しています」と。「えっ」と思って資料をよく見ると但し書きに「受験者に占める保有率」と書いてある。「受験者に占める」ということは、英検準2級を受ける学力のある生徒が受験するから87%をたたき出すのであって、中3全員が受験して87%合格している訳ではない。

「本校では今年度も多くの中学生に受験していただきました」と、説明ではA~Dの日程でそれぞれ高倍率が発生している。ところが資料をよく見ると、上位コース不合格になった生徒を下位コースで合格させ救済する「回し合格」の数字を別枠で記載している。つまり、全日程で全受験者数に対する全合格者数を求めると結果として全体で2~3名程度しか不合格になっていなかったりする(ほぼ倍率1.0倍)。

このように、自校を競争率の高い学校に見せるように資料の加工はいくらでも出来るので、数字のカラクリには本当に注意しなければならない。