ずいぶん昔、東京・お台場のフジテレビに音楽番組の観覧に行ったことがあった。有名アーティストが多数出演していたが、驚いたのは和田アキ子であった。
『♪あの頃は~ハッ!』(古い日記)など年齢層高めになるがかつての名曲のメドレーだったように思う。5分程だったろうか、ノリノリでド迫力の歌唱が終わって番組がCMに移るとメインの照明が落ち、すぐにマネージャーが和田にタオルと水を持って駆け寄った。
私は思わず目を疑った。和田の手が(いや、腕が、目が、顔が、身体が)ガクガクガクガクと大きく震えているのだ。震え過ぎて両手で握りしめたマイクが大きく揺れている。マネージャーが持ち寄ったタオルは観客に見せないため、それを隠すためのものだった。水を渡すが両手で持ってもうまく飲めない。
和田アキ子でさえこんなに緊張し、たかぶるものなのか!!
しばらくするとCMが明け、出演者のトークの場面になると、いつものテレビで見る和田アキ子になって「芸能界のご意見番」「ゴッド姉さん」の姿に戻っていた。
人のオモテだけを見て相手を判断してはいけない、と痛感したひとつの出来事であった。