日頃グータラしている人間に対して取って付けたような面接の練習は意味がない、と先週の塾通信で書いたが、M・K君(中3)が1月17日にちょうど良い感想文を書いていたので、転記してみる。
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面接では緊張し、思うように頭を動かせなくなる。だから、自分が事前に作っておいた答えをそのまま覚えるより、自分が何を伝えたいかということだけを頭に記憶しておき、面接の時に頭の中にあるキーワードをつなげてアドリブで答えた方が上手くいく。
礼儀作法に関しては、神尾塾で教わっていることを日々しっかりとこなしていれば問題ない。
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的確と思う。
正しい習慣を日頃からこなしておくことがとても大切で、これは大人でも同じである。私でも、例えば自宅で料理をする際に冷蔵庫から調味料を取り出して、思わず足で冷蔵庫のドアを閉めてしまいそうになる時がある。そんな時、気にせず足でドアを閉める習慣を続けてしまったら、思わず無意識の時にそういう行動が出てしまう。だから、「おっと、いけない、いけない」と面倒でもあえて手でドアを閉めるようにする。
そうして、日頃から面倒なことに立ち向かって丁寧に物事を処理する癖をつけておくと、やはり急ぎの時、焦った時でも好ましい振る舞いが出来るようになるのだ。
(※他に食事の時、皿を動かすのが面倒でも、箸で皿を押して動かさず、手で持って動かす習慣をつける、といったことも。)
日頃から、塾内で相手の向きに回して物を渡すなど正しい習慣を身につけておけば、いざ面接で頭の中が真っ白になって、あとで何を話したか、どう行動したか全く思い出せないほど緊張した時であっても、普段の習慣に沿った好ましい振る舞いが出来ているものだ。
で、あるので面接で緊張したりパニックになることは何ら問題ではなく、むしろそういう取り乱した精神状態の時に透けて見えてくる日常の行動習慣がどうであるか、ということが面接においては極めて重要なのである。
以前、入塾の面談で来られたお母さんが、面談終了の際に足で椅子を蹴って押して仕舞っていた姿を見て、このご家庭は無理だな、とやんわりとお断りする方向に向かわせてもらったことがある。恐らくその方はそういう習慣で家庭の中を過ごしているのだろうし、そういう行動が外に出てしまうということは、よほどご家庭の中がゴタゴタしているのだろうなということも容易に予想され、今後の意思疎通や子供への指導の困難さも99.9%予見できる。
必要以上に神経質になることも望ましくないが、「神(全体)は細部(ディテール)に宿る」という言葉もあり、日頃からの習慣がいかに大切かということを、改めて痛切に感じるのだ。