目の前で起きている現象を疑え

4月1日「令和」の新元号が発表され、街中では新聞の号外が配られたということで、東京の新橋だったか人々が号外の配達員に殺到して「や、やっと号外手に入れました…!ちぎれちゃいましたけど」みたいなテレビインタビューを放映していた。

「貴重な新聞を手にいれたんです!!」みたいなニュアンスをその番組では出したかったのだろう。
それから1ヶ月後、令和元年の初日、天皇陛下即位の号外を配る数社の新聞社員を天王寺駅で見た。新聞社員がどうぞ、どうぞと号外を配り、通行人が通りすがりにそれを受け取っていく感じ。

「あれ?テレビの風景と違うぞ」

恐らく、冒頭の新橋駅前の殺到は新聞社と、連携しているテレビ局が仕掛けたサクラではなかったかと私は思う。いわゆる自作自演。

新聞の講読者数が激減している現状において「新聞はすごいんだぞ、みんな欲しがっているものなんだぞ」ということを印象付けるには格好のチャンスであっただろう。しかし、現代の若い世代は基本的にそれほどモノを欲しがらないし、そもそもデータ通信が無かった時代の号外でもなく、今は号外が印刷されるまでもなくリアルタイムに「令和」の文字や天皇陛下即位の様子を画面越しに目撃できる。

新橋の群衆で本当に号外を欲しかった人もいるのかもしれないが、目の前で見えている現象が意外と真実とは限らない、という傾向は現代ではますます増えているような気がする。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」というチコちゃんのフレーズはNHKの番組としてはどうかと当初は思ったが、本当に感覚を磨いて目を覚まして世の中を見つめていかないと、怖い時代だなという感じがしている。