上宮学園中・上宮高(大阪市天王寺区・共学)

【アクセス】
近鉄上本町駅から南に徒歩5分、北側の旧校舎と南側のグラウンドを入れ替える形で高校校舎の新築がこの9月に完了したばかりの上宮学園。中学校舎は2012年に完成し、今回の新しい高校校舎と接続される。今後も改修により活用される総合体育館には25m×7コースの温水プール(大阪市内では数少ない)を完備している。キャンパス内には弓道場が設置されたり、私学ならではの充実した設備を揃えている。

【歴史】
本校は明治23年(1890)浄土宗大阪教校として設立された、大阪で最も古い私立学校である。作家の司馬遼太郎だけでなく、清風学園の平岡英信理事長も本校の卒業生である。もともと男子校であったが2011年に共学化。2018年に「上宮中」と「上宮太子中」が合併して「上宮学園中」となった。

大阪阿部野橋駅から近鉄南大阪線で35分、南河内郡太子町に位置する「上宮太子」は今後高校単独校となるが、実際の進学としては「上宮学園中」から「上宮高校」「上宮太子高校」の2校に分かれて中高一貫教育がなされることになる。尚、太子町の太子は聖徳太子の太子で、太子町には聖徳太子の墓がある。

尚、上宮学園の校歌は浄土宗開祖の法然上人が詠んだ「月影の いたらぬ里は なけれども 眺むる人の 心にぞ澄む」であり、日本一短い校歌とされている。

【上宮ルーブリック】
本校の校訓は「正思明行」であるが、この実践として『上宮ルーブリック』という冊子が全生徒に配布されている。例えば「勤行の礼」の項目を読むと

◎5=笑顔をもって挨拶やマナーある行動がとれ、他者に好感を与える
◎4=挨拶も積極的に行い、マナー等の礼儀も常に守っている
◎3=挨拶やマナーなどもしっかりと出来る様に努力しているが、出来ない時もある
◎2=挨拶やマナー等、礼儀に関してはあまり出来ない
◎1=挨拶は出来ず、マナー等の礼儀を守ることはしない

と5段階で区別されており、この基準をもとに中高6年間で自己評価を続け、得点の算出とともに成長の物差しにしている。

【男女比】
中高全体で男子62%、女子38%。

【進学】
2019年春の卒業生663名のうち8名が就職しているが、警察、消防、自衛隊など全員公務員での就職。

大学は2019年現役合格の実人数で
神戸大1。関大48、関学9、同19、立9。産9、近64、甲14、龍40。摂59、神8、追22、桃21。
と、合格校の学力が分散しており、何が何でもハイレベルの大学を目指すスタンスではなく、有機ELの研究を目的として山形大へ、海洋研究のために琉球大へ、と先ほどの公務員就職も合わせて、生徒それぞれの納得を踏まえて、確かな目的意識をもった進路実現であることが理解できる。

それだけに大学進学ありきではない「学園生活の充実」が何よりも感じられる学校ということであろう。

教頭の栗栖先生のお話によると、現在私立大学の約3分の1が文部科学省より存続に関する何らかの疑義が呈されており、そうした最新状況の分析、また私大に優秀な研究者が流れており「どうしても国公立大に」という状況でもなくなりつつあるという。

大学への指定校推薦は早稲田1、同志社10をはじめとして計763枠あるが、実際に活用しているのは全生徒のうちの4割で、残り6割は行きたい大学への公募制推薦または一般入試でチャレンジしている。

【2019年春の入試】
<中学>
◎1次入試=合格101名/受験109名
◎2次入試=合格92名/受験112名
⇒入学者計101名

<高校>
◎専願=合格315名/受験367名
⇒入学315名
◎併願=合格1715名/受験1846名
⇒入学184名

【まとめ】
歴史のある学校の貫禄、良い意味でのゆとり。山岳部、フェンシング部、クリケット部、天文物理部、宗教部、菜園同好会、といったユニークな課外活動。コースによりドイツ、オーストリア、ニューヨークと行先が豊富な修学旅行。先ほども書いたが、超難関大学に進学実績することだけに価値を置かない、また、他校に比べ、取り立てて目新しい何かを導入・実践しているということでもない。地道に当たり前のことを当たり前に実践する。6年または3年間の学校生活をいかに意義ある充実したものにさせるか、という環境づくりに心を砕き続ける「豊かな」学校であった。

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