文章力講座

作文でも小論文でも、読みやすい文章を心掛けることが大切。
そこで、押さえておくべき要所を確認してみよう。

<1>5W1Hをはっきりさせる
Who(誰が)When(いつ)What(何を)Where(どこで)Why(なぜ)How(どうやって)

この5W1Hが明確に示された文章はより具体的であり、明確にメッセージが相手に伝わる。

<2>句読点でリズムを整える
句点(くてん)=「。」は2呼吸の空白、読点(とうてん)=「、」は1呼吸の空白。

伝統芸能の「講談」では張り扇(はりおうぎ)で釈台を叩きながら講談師が話を進めていくが、「読点=、」で1叩き、「句点=。」で2叩き、というイメージを持っておくとよいだろう。講談の映像ならYouTubeで検索すればたくさん出てくる。

句読点の打ち方で文章のリズムが大きく変わってくる。

<3>文字を節約する
400字(原稿用紙1枚)、800字(同2枚)と文字数に制限があれば、少しでも不要な文字を浪費せずに、出来るだけ内容を濃く、話題を広げるために文字を使いたいものだ。
例えば、「私がいつも学校へ向かう途中(13字)ならば「私の登校中(5字)」と、8字も節約できる。節約した文字を集めていけば、2文3文とさらに展開した話題を付け加えることができる。「時間の節約」「お金の節約」が日常生活で大切なのと同様に「文字の節約」も意識しておこう。

<4>漢字ミス・送り仮名ミスは致命傷
古い本を読むと「分る(分かる)」「行ない(行い)」という統一されない表現が多々出てくるが、現代はあくまで現代の流儀に則して文章を書こう。相当達者な文章を書く者でない限り、「上る(あがる)」などと書いたら、「この人、勉強出来ないだろうな」という誤解を相手に与えかねない。

<5>「など」を多用しない
「など」はどうしても使いたくなってしまうが、「ぼかし言葉」であり話が薄まってしまうので、「など、って具体的に何のこと?」と問われて即答できるようでなければ使わない。<4>で示した用例のように「上る(あがる)」「止る(とまる)」「果す(はたす)」と「など」の部分が具体的に示せるのであれば使っても良い。

基本的に、上記の5項目で文章の質がグッと高まる。
次は、書いた文章を読み返し、不自然な点や明瞭でない点を修正していく「校正」。

校正のチェックポイント。

<6>時間を空けて5回読み返す
これは手紙やメールといったビジネス文書も同じで、読み返す回数としては重要なもので8回。通常で5回。気楽な文書であれば3回。
一度読んだら、一旦他の作業や食事を挟んだり、一晩置くのもよいだろう。時間を空けて読み返すと、同じ文章に対しても異なる見方が出来るようになる。

また「真夜中のラブレター」現象、つまりハイテンションの時に書いた文章を翌朝見直すと、「わーこんな恥ずかしいことを書いてしまった」と修正したくなる場面も起こり得る。だから上記回数の読み返しが必要。

<7>語調を整える
適切でない言い回しを修正し、語調を整えていく。<2>とも連動。

<8>同じ単語を多用しない
「~と思う。~と思う。~と思う。」のように、「思う」を繰り返して使ってしまうことがある。同じ単語が続くのは、あえてそういう韻を踏んで文をリズミカルに仕上げる意図があれば別だが、基本的にはマンネリ化した印象を読み手に感じさせてしまうので、同じ単語は多用しないことだ。

「~と思う。~と考える。~と感じる。」のように、ニュアンスの近い言葉に変換させていく「逃がし言葉」の活用もひとつの手段。

<9>主語と述語の対応
行動の主体「誰が」「誰は」を示す主語。これと、述語が必ず対応していなければならない。
長い文章を要約したら、例えば「私が、快適に過ごしてもらいたい」となってしまっては駄目。主語と述語が対応していない文章は、味噌汁の中からパスタが出てくるようなもので、読み手にしてみれば分からない土地を連れ回されているような意味不明な気分になる。

<10>助詞の抜け
日ごろ文章を書き慣れていない生徒がよくしてしまうのが、助詞の抜け。「自分にとっての楽しみ見つけること」・・・「を」が抜けているじゃないか、といった場面はこれまでの作文講座でも意外と多く見られた。だからこそ、<6>の読み返しで反復確認をしないと、それこそ間抜けな文章になってしまう。

もう大丈夫だろう、と思っていて読み返した時に「あ、またここも抜けていた」となることは珍しいことではないのだ。